控除対象外消費税等(繰延消費税)
課税売上げ割合が95% 未満の場合は、仕入にかかる消費税の一部が控除できないことを説明しました。勘のいい方は、すでに疑問を感じているかもしれません。「税抜き処理をしていて控除できなかった仮払消費税はどうなってしまうんだろう?」と。通常は、その期の損金(租税公課や雑損)で処理すればいいのですが、下記のような調整が必要となる場合があります。
繰延消費税として調整対象となるもの
課税売上割合が80% 未満である場合に、棚卸資産以外で一の資産取得に係る控除対象外消費税が20 万円以上である場合には調整が必要になります。
一括比例方式であれば資産購入に係る消費税に課税売上割合を乗じた金額、個別対応方式であれば、その区分に応じて計算される金額が、当該資産の控除対象外消費税になります。
調整処理の方法は次のとおり。
繰延消費税額等として資産計上し、それを60 で除して、各事業年度の月数を償却していきます(ただし、初年度は上記金額の1/2 が限度となります)。
また、資産の取得価額に加算して償却していくことも可能です。
簡易課税制度を適用している場の資産に係る控除対象外消費税の計算
税抜経理の場合、簡易課税制度を適用すると通常は控除対象外消費税が発生します。その場合、棚卸資産以外の資産に係る控除対象外消費税の計算は次によります。
① 原則課税を適用しているとみなして計算する方法。
② 仮払消費税の残高より資産に係る仮払消費税の割合で按分計算する方法。
有利な選択をしてください。
交際費に係るもの
経費に係るものは全額損金処理で差し支えないのですが、法人の場合、交際費に係る控除対象外消費税は、交際費の額に加算して損金不算入額を計算しなければなりません。
いずれも、税込処理であれば関係の無いお話です。