2018/06/30

個別対応方式と一括比例配分方式

前項解説の課税売上割合が 95% 未満になった場合、差し引ける消費税の計算方法は「個別対応方式」と「一括比例配分方式」の 2 つがあり、有利な方を選択することができます。
なお一括比例配分方式は、2 年間継続して適用しなければならないので注意が必要です。

個別対応方式

個々の課税仕入取引について区分が必要となります。
まず課税仕入等に対する消費税を下記の①~③に区分します。

① 課税売上のみに対応する仕入れに対する消費税
② 非課税売上に対応する仕入れに対する消費税
③ ①の課税売上と②の非課税売上の両方に共通する仕入れに対する消費税

①の金額と③に課税売上割合を乗じて計算した金額の合計額を控除対象とする方法です。(②は全額控除することはできません)

一括比例配分方式

上記のような課税仕入の区分を行わないで、課税仕入等に対する消費税に課税売上割合を乗じて計算した金額を控除対象とする方法です。

実際にそれぞれの方式で簡単な数値を使って比較してみましょう。

(ここではわかりやすく消費税5%としてます。)

課税売上割合は…
31,500,000 × 100/105 = 30,000,000
30,000,000 ÷(30,000,000 + 7,500,000)= 80%

個別対応方式の場合の控除額は・・・
1,050,000 +( 250,000 × 80%) = 1,250,000

一括比例配分方式の場合の控除額は・・・
(1,050,000 + 100,000 + 250,000) × 80% = 1,120,000
よってこの事例では個別対応方式の方が130,000 円控除額が多くなり有利です。

<ポイント>
要するに、個別に仕入を対応させ、課税売上対応仕入と非課税対応仕入の金額から、課税売上割合と同様の算式で課税売上対応仕入割合を算出し、それが課税売上割合よりも高くなれば、個別対応方式が有利になりますし、低ければ一括比例方式が有利になりますね。

一括比例配分方式を選択する場合は、2 年間の継続適用なので、適用 2 期目の計画も重要となってきますので、よく検討しましょう。

課税売上割合がゼロの場合

課税売上割合がたとえゼロの場合であっても、課税売上にのみ対応する仕入があるのであれば、個別対応方式を選択すれば、全額仕入税額控除できますからご注意ください。
時々、勘違いをされている方があるので補⾜です。