2018/06/12

消費税の管理は大変

消費税は管理が大変!?

消費税って簡単そうですが、実務でミスが一番多いのが消費税なんです。税理士が損害賠償を請求されているのも圧倒的に消費税関連事項です。

非課税取引や免税取引があったり、免税事業者があったり、簡易課税制度があったり、また消費税の課税方法等について各種選択届が必要であり、またその選択は課税事業年度開始までに届出をしなければならなかたりと、実に管理が大変なんです。

また、基準年度といって、常に2 期前の売上を管理しなければなりません。

さらに、課税売上割合による調整、一括比例方式や個別対応方式の検討、簡易課税でも各取引が第何種取引になるかなど確認検討事項が多く、万全な対策をとるために本当に気苦労が絶えません。すべて原則どおりで選択の余地がなければ消費税はまったく簡単なのですが…。例外や特例なんてなくしてもらいたいというのが本音です。

ではここで、実際にどんなミスがあるのか税務賠償事例などから例示してみます。詳細は解説しませんが、しっかりマスターいただければ各事例の意味が理解できるとおもいます。本当に消費税は怖いです。

よくある?消費税の失敗事例

①個別対応方式で計算すれば有利なところを、一括比例方式で計算した。一括比例方式は 2 年間継続適⽤しなければならないために、2 年分の消費税を過大に納付することとなった。

②一括比例方式が有利であるにもかかわらず、わざわざ個別対応方式を選択して過大な消費税を支払った。

③簡易課税選択不適用届出書の提出を失念して、ビル建設に係る消費税の還付が受けられなかった。

④課税事業者選択届出書の提出を失念したために、消費税の還付を受けることが出来なかった。

⑤貸倒れに係る税額控除の適用を失念してしまった。

⑥輸出免税売上を課税標準額に含めて税額計算してしまった。

⑦輸出免税売上を課税売上割合の計算にあたって、課税売上に加えなかったことにより、著しく低い課税売上割合で仕入控除税額を算出してしまった。

⑧開業(資本金 1,000 万)と同時に簡易課税選択届出書を提出したが、途中で別の新規事業を始めることとなった。初期投資が多額な事業なので簡易課税選択届出書の取下げを年末までに提出すべきであったが、取下書を提出しなかった。

⑨課税期間特例選択届出書の提出を失念したために、消費税の還付を受けることが出来なかった。

⑩消費税の新設法人適用終了後に、課税事業者であると思い込んでおり、課税事業者選択届出書の提出を失念したため消費税の還付が受けられなかった。

⑪本則課税と簡易課税の比較検討に際し、計算を誤り、不利な簡易課税を選択をしてしまった。

⑫今期から免税事業者になると認識していたが、以前に課税事業者選択届出書が提出されていることを確認しなかったため、資産譲渡に係る多額の消費税を納付することとなった。

⑬建物取得が翌期に延期になったにもかかわらず、翌期からの簡易課税選択届出書を提出してしまった。

⑭決算期が急遽変更されたために、来期へむけて提出すべきであった簡易課税選択届出書の提出を失念してしまった。

⑮ホステスの報酬を不課税の給与人件費と勘違いして消費税を計算していたため、多額の消費税を納付していた。

⑯マンション建設の消費税還付を受ける予定だったが、2 期目以降の簡易課税選択を失念し、調整対象固定資産の調整を受けてしまった。

⑰土地を売却したために、課税売上割合が著しく減少したが、課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書を期末までに提出することを失念して、過大な消費税を納付することとなった。

⑱新設年度に課税事業者選択届出書を提出したが、新設年度の月数が 12 ヶ月に満たないため3期目も継続して課税事業者となることを失念していて、予定外の消費税を申告することとなってしまった。

⑲売上は非課税売上が中心であり、免税事業者であると認識していたが、基準年度に事業用車輌の売却や雑所得があり、課税売上が 1,000 万円を超えており、課税事業者であったため、 建物売却にかかる多額の消費税を納付することになってしまった。

⑳新たに課税事業者となった年度に期首の棚卸資産に含まれる消費税額を仕入税額控除することを失念した。

などなど…。消費税は状況に応じて非常に検討すべき事項が多く、実際に失敗事例も非常に多い税目なのです。我々も常に細心の注意を払うところです。