2018/05/28

少額の資産を一発経費にして節税

取得した資産のうち、使用可能年数が 1 年未満または取得価額が 10 万円未満(本来の少額減価償却資産)のものは、業務の用に供した事業年度に必要経費とします。また使用可能年数が 1 年以上かつ取得価額が 10 万円以上のものは減価償却資産とされます。

取得価額が 10 万円以上 20 万円未満の減価償却資産については、その取得価額の合計額の 3分の 1 に相当する金額をその業務の用に供した年以後 3 年間の各年分において必要経費に算入することができます(一括償却資産)。

以上が原則ですが、取得価額 10 万円以上 30 万円未満の減価償却資産(上記の適用を受けるものを除きます)については、次のような特例があります(措置法の少額減価償却資産)。

措置法の少額減価償却資産

中小企業者等が、平成 18 年 4 月 1 日から平成 22 年 3 月 31 日(期間特例)※ 1 までの間に、取得価額が 30 万円未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、損金経理を要件に取得価額の合計が年間 300 万円(事業年度が1年に満たない場合には300 万円を12 で除し、これにその事業年度の月数を掛けた金額)に達するまでの金額について損金算入を認めるというものです。 (措法67-51) 平成 22 年度税制改正により適用期間が 2 年間延⻑されました。

期末にまとめて購入しても、その事業年度内に事業の用に供していれば全額経費処理が可能です。

【対象となる資産(中古でもOK !)】
(1)建物、車両、器具備品、機械装置などの有形減価償却資産
(2)ソフトウェア、特許権、商標権などの無形減価償却資産
【注意】減価償却資産でないもの、資本的支出、繰延資産は対象外です。

【制度を適用するための要件】
(1)青色申告の中小企業者等であること。
(2)確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書
(法⼈の場合:別表⼗六(七))を添付すること。
(3)租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳との重複適用でないこと。

判定時の注意

(1)消費税の経理採用方式:税込経理と税抜経理での違い

例えば、税込300,000 円の備品を購入した場合

税込経理を採用している場合の備品の購入金額は、税込の 300,000 円となり、30 万円以上であるため一括損金処理はできません。
税抜経理を採用している場合は備品の購入金額は、税抜の 285,714 円となり、30 万円未満であるため一括損金処理できます。

このような考え方は、10 万円未満であるか否か、20 万円未満(一括償却資産)であるか否か、あるいは、少額交際費の 5,000 円以下の判定などでも同様です。(ちなみに消費税の免税事業者は、税抜経理は採用できません。)

(2)購入単位ごとに判定します。

通常の使用で、1 単位として使用する単位ごとで 30 万円未満となるかどうかを判断します。

例えば、応接セットの場合、普通は、テーブルとイスを 1 組で使用するので、1 組で 30 万円未満になるかで判断します。

またカーテンの場合などは、1 枚だけでは通常の使用に無理がありますので、一つの部屋ごとに数枚の組合せで使用しますから、部屋ごとに合計が 30 万円未満になるかで判断します。

償却資産税について

所有する償却資産については償却資産税という地方税が課税される場合があります。原則どおり、必要経費として処理された 10 万円未満の本来の少額資産や、3 年で均等償却される一括償却資産は償却資産の申告の必要がないものとされています。

しかし、30 万円未満の措置法の少額減価償却資産として処理されたものは、償却資産税の課税対象とされます。

10 万円以上 20 万円未満の資産は、一括償却資産として扱えば償却資産税は課税されませんが、措置法の小額原価償却資産とすると償却資産税が課税されることになります。