2018/05/21

役員へ債務保証の保証料を払って節税

中小企業では、金融機関などから借入れをする場合、保証協会を利用するケースが多いかとおもいますが、この場合は保証協会に対して保証料を支払います。
また通常、その保証に対して社長は連帯保証人になり、保証協会に対して連帯保証をします。

そこで、社長は会社と契約を交わせば、債務保証の対価として会社から保証料を受取ることができるのです。

<注意点!>
(1)保証料の目安は信用保証協会における保証料を参考にして算定しますが 1% 程度までといわれています。
(2)通常の保証料を超える保証料の支払は役員賞与となりますから注意が必要です。
(3)役員が受取った保証料は、雑所得となります(原則、確定申告することになります)。

同族会社の役員やその親族などで、その同族会社から給与のほかに、貸付金の利子や地代家賃等の支払を受けている者は、その所得が20 万円以下であっても申告する必要があります。(所法121-1 但書)

<プロの視点>
上記、所得税法 121 条 1 の但し書きにいう貸付金の利子や地代家賃等ですが、所得税法施行令 262 条の 2 では、その内容を「当該法人の事業に係る貸付金の利子又は不動産、動産、営業権その他の資産を当該事業の用に供することによる対価の支払を受ける場合とする。」 と明確に限定されています。

そうすると、たとえば、役員が会社の債務保証をしている場合に、会社から 20 万円以下の保証料を受けた場合は、資産の担保提供などをしていなければ申告義務は無いと解釈できます。
保証料 1% で年間 20 万円を上限とする保証契約書を締結しておけば、文理上は毎年 20 万円の保証料を非課税で受取ることができることになりますね。

ただし、所得税法 121 条 1 項の但し書きの趣旨は、個人事業主として同一の事業を行っている場合との均衡を図ることであるといわれています。趣旨からすると、20 万円以下の保証料は非課税ということはおかしいのですが、所得税法施行令 262 条の 2 で限定的に列挙されている以上は、文理上の解釈により非課税であると主張することは十分可能であると思われます。

税務署は本来の立法趣旨であるとか、保証人になるには社長に実質的保証能力があることが必要であり、預金や不動産等の資産が保証能力となっていると解して、それを事業の用に供したことになるなどと言ってくるかもしれませんね…(ちょっとこじつけが過ぎますが)。

しかし、こちらが、法令を根拠に理論的に主張すれば、税務署は法的根拠が明確でないものを強くは主張してこないと思います。