2018/04/28

使用人兼務役員・家族従業員への賞与

役員賞与は原則として損金になりませんが、使用人兼務役員や役員等の家族従業員への賞与の取扱はどうなっているのでしょう。

使用人兼務役員の賞与

みなさんの会社にも、取締役で営業部長や総務部長を兼務といった方がいらっしゃいませんか。そのような使用人としての仕事をしていながら取締役になっている方には、使用人部分に対する賞与を支給して損金扱いにすることが出来ます。

しかし、全ての役員さんが無条件に使用人兼務役員になれるわけではありません。

使用人兼務役員になれない人

使用人兼務役員とは、役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者をいいます。

次のような役員は、使用人兼務役員となりません。
(1)代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
(2)副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
(3)合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員
(4)委員会設置会社の取締役
(5)会計参与及び監査役並びに監事
(6)同族会社のみなし役員に該当する人(みなし役員については次の項目で説明します)

<注意点!>
「取締役営業部長」は、営業部長として使用人としての職務に従事しているので兼務役員だが、「営業担当取締役」は営業を統括する取締役であって使用人ではないなどと、税務署は肩書きで判断して兼務役員にはあたらないと言ってきたりしますので注意が必要です。

肩書きに係わらず実質が従業員であれば、そのように主張すればいいのです。

使用人兼務役員への歩合給

役員の場合、歩合給も、臨時的な給与となり原則的には損金に算入できません。

ただし、その歩合給の支払いが使用人兼務役員へのもので、支払方法が使用人と同じ基準の場合に限り、従業員見合いの給与と認めて損金算入することができます。
部下の業績等に基づいて支給している場合には、従業員と同一基準による支給ではありませんから、損金算入はできません。

家族従業員への賞与

役員とは、株主総会で選任された取締役、監査役等の会社法上の機関をいいますが、法人税法上では、その範囲がさらに広く、役員として登記されていなくても、同族会社の社長の親族等には下記のような「みなし役員」の規定があります。

家族従業員等が「みなし役員」に該当する場合、そのものに支給される賞与は損金になりません。所定の時期に確定額を支給したい場合は、事前確定給与の届出をしていただく事になります。

みなし役員とは

(1)法人の職制上使用人としての地位のみを有する者以外の者で、その法人の経営に従事しているもの。顧問や相談役などの肩書きで、経営に参画している場合などです。

(2)会社の使用人のうち同族判定上の支配的株主グル-プに属する者で、その同族会社の経営に従事しているもの。

支配的株主グル-プに属するものというのは、次の①、②および③の要件のすべてに該当するもの。

① 所有割合が最も大きい株主グル-プから順にその所有割合を合計して、その合計が最初に50% を超えるときのそのいずれかのグル-プ(第 3 順位までのグル-プ)に属している。
② その属している株主グル-プの所有割合が 10% 超である。
③ 本人(その配偶者およびこれらの者の所有割合が 50% 超える関係会社含む)の所有割合が 5% 超である。

<ポイント!>
上記の(1)については
経営に従事しているという判断基準に該当させないようにする。

具体的には
① 取締役会等で経営事項決定に参画していないこと
② 社員の採用や給与に関与していないこと
③ 融資等の資金計画に関与していないこと

つまり経営の重要な決定には直接は関与していないようにすることが必要です。

上記の(2)については
①と②は、同族会社の社長親族は、まず該当しますので、③の本人(配偶者含む)の所有割合を5% 以下にさせることがポイントになります。