2018/04/02

繰越欠損金を上手に使って節税

「欠損金の繰戻還付」制度が復活しました

欠損金とは “ 税務上の赤字 ” のことです。決算書の「当期損失額」とは異なります。
欠損金の税務上の活用方法には2種類あります。

(1)一つは「欠損金の繰越控除」です。
欠損金を7 年間にわたって繰り越すことが可能で、 その間に所得(税務上の黒字)が発生したら、欠損金と相殺できる、というものです。
(欠損金額が生じた事業年度において青色申告である確定申告書を提出する必要があります。)

(2)そしてもう一つが「欠損金の繰戻還付」制度です。この制度は、長期間停止中でしたが、昨今の不況の影響もあり、21年度の税制改正により、中小企業者限定で復活しました。
(停止中の間でも、開業5年以内の法人など、一部適用可能なケースもありました。)
「前期に所得が出ていて税金を払っていて、当期欠損だった場合、当期の欠損分を限度として、前期に払った税金が還付される。」という制度です。

ではどちらを選択したら良いでしょう?

資金繰り重視なら断然「繰戻還付」でしょう。すぐに税金が戻ってくるわけですから、利用しない手はないかと思います。「繰越控除」の場合は、メリットを受けるのは1年以上先になってしまいます。

ただ、繰戻還付は繰越控除に比べて要件が厳しく、下記の要件を満たすことが必要です。

欠損金の繰戻還付の適用要件

(1)中小企業者等(資本金又は出資金の額が1億円以下の普通法人等)であること(個人事業者は含みません)。
(2)前期(税金を払った年度)も当期(欠損年度)も連続して青色申告をしていること。
(3)当期(欠損年度)の確定申告書を青色申告により期限内に申告していること。
(4)確定申告書と同時に欠損金の繰戻還付請求書を提出していること。

ただ、欠損での申告ということは、当然赤字の決算書になるわけです。銀行や取引先に決算書を提示する必要のある法人は、入念に検討をして下さい…。

<アドバイス>
最後にちょっと余談を…。
税務署というのは税金を還付する場合は非常にシビアです。

以前は「還付請求したら調査が来る」という定説(?)まであったほどで、それが理由で還付請求をためらうケースもありましたが、昨今の経済状況の中そうも言っていられない会社もたくさん出てきたことでしょう。
経済活性化対策のひとつでもあるとのことです。正しい決算で、正しい申告をしておれば、調査も恐れることはありませんので、躊躇せずにどんどん活用しましょう!