2018/03/27

使っていない固定資産を除却して節税

会社、倉庫の隅に実際に使われていないもの(パソコン、ロッカー等)はありませんか?あるいは老朽化のため使用できなくなった不要・遊休の固定資産(機械等)はありませんか?
これらは帳簿にはいくらかの価値があるものとして計上されていますが、実際に使用していな
いのであれば処分してしまいましょう。帳簿価額で除却損を経費に計上することができます。

有姿除却

また、実際に処分した場合だけでなく、撤去費用がかかるため処分しようにもできないなど、現物はあるけれど使わなくなったものを、帳簿から外してしまうことを『有姿除却』といいます。この場合も同様に下記の除却損の金額を経費に計上することができます。

有姿除却した場合の除却損の金額
除却損の金額 = 帳簿価格 - 処分見込価額(スクラップ売却額)

次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとする。
(一)その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
(ニ)特定の製品の生産のために専用されていた金型等で当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況からみて明らかなもの【法基通 7-7-2】

<アドバイス>
除却損の金額を計上する日は、廃棄処分をした日付です。廃棄処分を業者に依頼する場合は、廃棄した日付がわかるように、廃棄証明書などを発行してもらうとよいでしょう。
有姿除却をする場合には、その固定資産等が使用不可である旨の根拠について説明できるようにしておく必要があります。例えば機械のような場合、主要部分をあえて破壊しておくということも方法のひとつです。

決算時に、固定資産明細表で記載されているのに、実際には無い資産がないかどうか、まったく使用予定のない除却可能な資産はないかどうか調べてみましょう。節税になります!

含み損のある資産を売却

①大きく値下がりしたゴルフ会員権などを処分してしまうことも節税につながりますね。
事業関連あるいは接待交際などの関係で手放せないものであれば、業者を通じて適正に売却したのちに、やはり必要であるということで、また業者を通じて購入すればいいですね。

②バブル期に購入した工場や社屋などを売却することも一考の余地はあります。しかし、事業に必要なものなので、まったくの第3者へ売却することはできませんね。

グループ再編なり事業別の採算管理の強化、意思決定の機動性などといった合理的な理由があれば、子会社などに事業用資産を時価で売却することも可能です。
ただし、100%子会社等との取引は注意が必要です(下記参照)。

100%子会社等との取引に規制が…

平成22年度税制改正で、100%グループ内の内国法人間で一定の資産の移転を行ったことにより生ずる譲渡損益を、その資産のそのグループ外への移転等の時に、その移転を行った法人において計上する制度としますと規定されました。
100%グループ内の内国法人間の寄附金についても、支出法人において全額損金不算入とするとともに、受領法人において全額益金不算入とされます。

要するに、100%子会社間の資産譲渡や寄付による損益は認識しないということです。

100%グループ内とは?

純然たる100%子会社との取引だけでなく、100%グループ内として、実質100%支配関係にある子会社等との取引を規制しているので注意が必要です。

親会社A社が、自社および別の100%子会社B社を通じて、実質100%を保有するC 社などのA,B,C 社の関係はもちろん、個人がD社とE社の株式をそれぞれ100% 保有する場合のD社とE社や、兄が100%保有するF社と、弟が100%保有するG社というようにグループの頂点が同族個人であるようF社とG社の場合も100%グループ内となるようです。