2018/02/14

来年分の経費も先払いで節税

1 年分の家賃を一括して支払った場合、本来はその事業年度末までの期間に対応する家賃のみが経費であり、翌事業年度以降の期間に係る金額は前払費用となり、支払った年度では経費処理ができません。

しかし次の要件を満たせば、支払った年度で経費処理することが認められています。
(1)1 年以内にサービスを受けること
(2)期末までに実際に支払っていること
(3)継続的に1 年分の支払をすること
地代、家賃、リース料、保険料、支払利息などが対象となります。

決算直前に来期1 年分の家賃を支払えば、支払った来期の費用全額が今期の経費として損金にできるわけです。

このような前払いをすると、前払いを始めた初年度は、それまで毎月支払った通常の家賃とあわせて計2 年分が、その期の経費になりますが、2 年目からは前払いする翌年1 年分だけが経費になるので、この節税は初年度の1 回きりの節税策ということになります。

短期前払費用の注意点

(1)月払契約から年払契約に、契約書の支払条項を変更するか、支払条件の変更に関する覚書を交わしておくことが大切です。
(2)役務の提供であることが要件なので、物品の購入には使えません。
(3)収益と対応させる必要のある費用は対象外となります。たとえば
①借入金を預金で運用している場合の預金利息と借入利息。
②借り上げ社宅の受取家賃と支払家賃。
(4)等質・等量のサービスという要件があります。
たとえば税理士などに支払う顧問料は、等質等量なものではないとされます。
(5)1 年を超える期間の費用を前払いした場合は、来期の分を含めて、支払った全額が損金処理できなくなります。

支払いは、現金だけではなく、小切手・手形で支払った場合も認められますので、手元資金がなくても実施可能な対策です。

前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうちその当該事業年度の終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2-2-14 において同じ。)の額は当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、短期前払費用の額でその支払った日から1 年以内に提供を受ける役務にかかるものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金に算入しているときは、これを認める。【法基通2-2-14】