2025/05/27

消費税のプラットフォーム課税

消費税のプラットフォーム課税の概要

消費税のプラットフォーム課税制度とは国外事業者アプリや電子書籍といったコンテンツを特定のアプリストア経由で販売した際にその国外事業者に代わって、そのアプリストアを運営する事業者が消費税の申告・納税を行う制度です。
より正確に表現すると、国外事業者が国税庁長官の指定した「特定プラットフォーム事業者」の提供する「デジタルプラットフォーム」を介して消費者向け電気通信利用役務の提供を行った際に、国外事業者に代わって、その「特定プラットフォーム事業者」が役務の提供を行ったとみなして消費税の申告・納税するという制度になります。
まず、「デジタルプラットフォーム」とは、不特定多数の人がオンライン上で電気通信利用役務の提供を行えるようにした場のことをいい、アプリストアや電子書籍のオンラインモールなどがこれに該当します。

「特定プラットフォーム事業者」とは、この「デジタルプラットフォーム」を提供する事業者のうち、国税庁長官が指定したもので、現時点では、以下の4社がこの指定を受けています。

・iTunes株式会社(App Store/Apple Books/Apple Podcasts)
・アマゾンウェブサービスジャパン合同会社(AWS Marketplace)
・Google Asia Pacific Pte.Ltd.(Google Play)
・任天堂株式会社(Nintendo eShop)

例えば、国外のアプリ開発者の販売するアプリをApp Storeからダウンロードしたときは、このプラットフォーム課税の対象となります。
なお、事業者向けの電気通信利用役務の提供や国内事業者が特定プラットフォーム事業者のプラットフォームを介して電気通信利用役務の提供を行った場合にはプラットフォーム課税は適用されません。

プラットフォーム課税制度開始後の実務的対応

まず、国外事業者がプラットフォーム課税の対象取引を行った場合ですが、令和7年4月1日以後の取引については、消費税の申告も納税も不要となり、適格請求書の交付も不要となります。
特定プラットフォーム事業者以外の取引がある場合、その取引については申告・納税義務が発生することがありますが、その場合であっても、特定プラットフォーム事業者を介した取引部分については除いて(課税売上割合の分母にも分子にも含めない)消費税の申告することになります。
また、令和7年4月1日以後の特定プラットフォーム事業者を介した取引については、基準期間の課税売上高に含まないこととなりました。
なお、国内事業者が特定プラットフォーム事業者を介して消費者向け電気通信利用役務の提供を行った場合はプラットフォーム課税の対象とはならず、従来通り、消費税の申告・納税と適格請求書の発行を国内事業者自身で行う必要があります。

プラットフォーム課税の対象となる役務の提供を受けた場合の対応

インボイス制度開始以降、国外事業者から受けた消費者向け電気通信利用役務の提供は以下の取り扱いとなっていました。

・インボイス登録事業者からの仕入・・・・仕入税額控除可能
・インボイス登録事業者以外からの仕入・・仕入税額控除不可

プラットフォーム課税制度が開始したことにより、その国外事業者がインボイス登録をしていない場合であっても、特定プラットフォーム事業者を介したものであれば、登録事業者からの仕入とみなすことが
可能となります。
現時点で特定プラットフォーム事業者に指定された事業者はすべてインボイス登録事業者となっています。
そのため、プラットフォーム課税が始まった時点では以下の考え方になります。

・特定プラットフォーム事業者を介した仕入・仕入税額控除可能
・特定プラットフォーム事業者を介さない仕入
・インボイス登録事業者からの仕入・・・・仕入税額控除可能
・インボイス登録事業者以外からの仕入・・仕入税額控除不可

ただし、この取り扱いはあくまで「国外事業者から消費者向け電気通信利用役務の提供を受けた」場合によるもので、「国内事業者」から特定プラットフォーム事業者経由で役務の提供を受けた場合は従来通り、各事業者から適格請求書の発行を受け、各事業者ごとにインボイス登録事業者かどうか確認する必要があります。

最近はトランプ政権の関税政策によって貿易赤字の解消を目指す動きがありますが、日本でも「デジタル赤字」解消に向けた国を挙げての政策が進められています。
常に最新の動向が気になるところです。

記.東京事務所1課