免税店制度の改正について
免税店制度とは?
免税店とは消費税法上の輸出物品販売場のことを言います。免税店制度では外国人旅行者などの非居住者に対して、免税対象物品について消費税を免除して販売できる制度となっています。
免税対象物品については、「通常生活の用に供する物品」とされ「一般物品」と「消耗品」に区分されます。
一般物品は販売価額の合計額が5千円以上(税抜)で、例えば家電、バッグ、衣料品など、消耗品以外のものとされています。
また、消耗品については販売価額の合計額が5千円以上50万円以下(税抜)で、例えば飲食料品、医薬品、化粧品、その他の消耗品とされています。
販売する免税店についても販売店舗ごとに所轄税務署長の許可が必要で、販売する際には一定の手続きが必要です。
免税店制度は、海外への輸出販売などの免税制度と同様に、日本国内における消費税を海外に負担させないことを目的としており、海外で消費されるものについては消費税を免除することとしています。(消費地課税主義)
リファンド方式への改正
令和7年度の税制改正では、免税店制度について改正がありました。
特に大きな改正点としては、外国人旅行者等への消費税額の免除の方法がいわゆるリファンド方式に移行することとなりました。
これまでの免税店制度では外国人旅行者等に対し、免税店で販売する際に、消費税を免除した「税抜価格」で販売を行っていました。
改正後の令和8年11月からは、以下の方法(リファンド方式)で免除することとなります。
①免税店は、外国人旅行者等に対して、「税込価格」で免税対象物品を販売する。
②外国人旅行者等は、免税対象物品を国外に持ち出すことについて購入日から90日以内の出国時に税関の確認を受ける。
③免税店を経営する事業者は、購入記録情報と持出しを税関が確認した旨の情報(税関確認情報)を保存することで、免税の適用を受ける。
④免税店を経営する事業者は、この確認後に外国人旅行者等に消費税相当額を返金(リファンド)する。
まとめると、販売時に消費税を免除する方法から、一旦、販売時に消費税を含む価格で販売したうえで、海外に持ち出し後に返金する方法に変更になりました。
免税店制度は、海外で消費される物品を対象としているため、国内において消費されたり転売されるものについて、消費税が免税されないように対応がされたことになります。
改正前においても、海外へ持ち出しされなかった物品については、課税することとされていましたが、実際に国内で消費されたり、転売されるものを補足し課税することが容易ではない状況があったようです。
また、消費税分の利ざやを得るための転売などの不正が横行していた背景もあるようです。
その他の改正点
免税店制度の改正については、リファンド方式への移行に伴い、以下の改正もありました。
①「免税対象物品の範囲等の見直し」
・通常生活の用に供するかどうかの要件を廃止し用途を問わない
・一般物品と消耗品の区分の廃止
・免税対象金額(販売価額の合計額)の上限額50万円の廃止
・免税店における特殊包装(国内で消費されないように指定された方法による包装)の廃止
②「免税販売手続等の見直し」
・船舶観光上陸許可等により在留する者や日本国籍を有する免税購入対象者の手続きの見直し
・単価100万円(税抜価額)以上の商品を販売した場合の商品情報の国税庁等への提供(免税販売管理システムへの設定)の追加
③「免税店の区分や許可要件等の見直し」
・一般型免税店と手続委託型免税店の区分統合
・免税店の許可要件の一部緩和と一部要件の追加
・免税販売手続電子化未対応の免税店の令和8年10月31日をもって免税店許可の効力失効
・免税店の移転手続きの簡略化、許可申請書式等の簡素化
免税店の事務負担の緩和や、購入対象者である外国人旅行者等の利便性の向上などを意識した改正となっています。
近年、訪日外国人旅行者の増加に伴い免税店制度の利用も増加しています。今後も免税店を運営する事業者や外国人旅行者等が利用し易い制度になっていってほしいところです。
記.東京事務所1課