2025/02/26

地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)について

地方創生応援税制とは

地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)は地方創生の実現のために、民間企業から地方公共団体へ積極的に寄付が行えるように平成28年度に創設された制度です。

制度の内容としては、国が認定した地域再生計画に位置付けられる地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄付を行った場合に、法人関係税から税額控除する仕組みとなっています。

制度開始当初は税額控除限度額は寄付額の3割まででしたが、令和2年度より税額控除限度額は現在の6割までとなりました。

もともとは令和6年度までの時限付きの税制でしたが、令和7年度の税制改正大綱にて3年延長される旨の記載がありました。
今回の改正案にて自治体側が国から求められる報告義務等は厳しくなるようですが、本記事では詳細は割愛させていただきます。

企業版ふるさと納税のメリット

法人税、法人住民税の税額控除がある

寄付については地方公共団体への寄付となりますので全額損金算入できるほか、寄付金額に対して最大で6割程度の税額控除を受けることができます。寄付金額の損金算入と合わせて合計で最大9割程度の減税効果が見込まれます。なお、税額控除については限度額があります。以下ご参照ください。

【各種税額控除可能額および控除限度額】
・法人住民税…寄付額の4割を税額控除。(控除限度額:法人住民税法人税割額の20%)
・法人税  …上記の法人住民税で税額控除額が4割に達しない場合、寄付額の1割を限度としその残額を税額控除。(控除限度額:法人税額の5%)
・法人事業税…寄付額の2割を税額控除。(控除限度額:法人事業税額の20%)

寄付先の地域における知名度の向上

自治体からの直接的な経済的な見返りは禁止されていますが、寄付先の自治体のホームページや広報誌、県政広報番組等による企業名の紹介をされることがあります。地域によっては寄付目録の贈呈の際に記者発表の場が設けられた、ということもあるようです。

注意点

「個人のふるさと納税」と「企業版ふるさと納税」との違い

通称こそ似た両者ですが、扱いが異なる部分があります。以下に代表的なものを列記します。

【個人の場合】
自己負担額…2,000円
寄付額下限…なし
返礼品  …あり
寄付先  …どこの市町村でも可
 
【企業の場合】
自己負担額…最小で寄付額の1割
寄付額下限…100,000円
返礼品  …なし
寄付先  …本社が所在する地方公共団体以外が行うプロジェクト
(例:寄付する企業の本社が大阪府大阪市に所在⇒「大阪府」と「大阪市」への寄付については制度適用対象外             )
※税額控除はありませんが寄付そのものはできます。

法人税の税額がない場合は税額控除ができない

課税所得金額がマイナスであったり、多額の繰越欠損金があるなどにより、法人税の納税額がない場合はそもそも控除する税額がないので本制度を最大限活用することができません。また本制度については税額控除の繰越はありません。

内閣府地方創生推進事務局が運営している企業版ふるさと納税ポータルサイトにて地域、または分野別の寄付事業を検索することができます。地方創生応援税制については節税のため、というよりは自社の納税先の選定や地域貢献の意味合いが強いです。たまには興味のある分野や自社企業のルーツのある市町村等への納税を自ら選んで行うのもいいかもしれませんね。

記.大阪事務所4課