2025/02/19

iDeCo(イデコ)の令和7年度改正について

iDeCo(イデコ)とは?

iDeCo(イデコ)とは、「個人型確定拠出年金」の愛称です。

「個人型確定拠出年金」は、老後の資金を自ら準備するための私的年金制度です。公的年金とは異なり、加入は任意で、加入の申込、掛金の拠出、掛金の運用の全てを自身で行い、掛金とその運用益との合計額をもとに将来、公的年金に上乗せして給付を受けることができます。

加入者が拠出した掛金は全額が所得税控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。つまり、国民健康保険料、国民年金などと同様の扱いとなります。

通常であれば掛金や運用益は所得や利益とみなされ、税金の対象となりますが、iDeCoは老後の生活資金を確保するという目的があるため、運用中の運用益は非課税となり、税金はかかりません。

受取開始年齢は原則60歳からで加入期間が10年未満の場合は段階的に引き上げられます。また年金として給付を受け取った場合は公的年金等控除、一時金として受け取った場合は退職所得控除の適用を受けることができます。

このように税制面で優遇が非常に多いことから、豊かな老後生活を送るための資産形成方法のひとつとして広く活用されています。

令和7年度改正内容1「月額掛金限度額の引き上げ」

月額掛金の限度額の引き上げにより拠出期間(運用期間)の節税効果が高まります。引き上げ内容は以下を予定しています。

〇第1号被保険者(個人事業主、フリーランスなど)
 月額6.8万円 → 月額7.5万円

〇第2号被保険者(企業年金に加入している会社員、公務員など)
 企業年金と合算で月額5.5万円 → 企業年金と合算で月額6.2万円
 (iDeCoの限度額(2万円)は廃止)

〇第2号被保険者(企業年金に加入していない会社員、公務員など)
 月額2.3万円 → 月額6.2万円

〇第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている配偶者)
 月額2.3万円 → 月額2.3万円 (変更点なし)

大幅な引き上げにより、より多くの資金を老後資産に充てることが可能となります。

令和7年度改正内容2「一時受取に対する退職所得控除の改正」

現行のiDeCoでは一時金として給付を受けた場合、退職所得控除の適用を受けることができます。

〇退職所得控除額
勤続年数20年以下・・・40万円×勤続年数 (最低80万円)
勤続年数20年超 ・・・800万円+70万円×(勤続年数-20年)

現行制度では、退職金を受け取ってから4年以内に一時金を受け取った場合に控除が受けられなくなる「勤続期間等の重複排除の特例」があります。

つまり、60歳でiDeCoの一時金を受け取り、63歳で退職一時金を受け取った場合には、iDeCoの加入期間と重複する期間分の退職所得控除が適用できません。

一方で一時金の受け取りが、退職金を受け取って5年以上経過していれば、退職所得控除を「iDeCoの一時金」と「退職金一時金」で2回適用することができ、税負担が軽減されます。いわゆる「5年ルール」です。

今回の改正でこの経過期間が5年から10年に変更され「10年ルール」となります。この改正は令和8年1月1日以降に支払われる退職一時金から適用される予定です。つまり、60歳でiDeCoの一時金を受け取り、65歳で退職一時金を受け取った場合に退職所得控除を2回適用できなくなります。そのため、受取時の税制優遇を最大化するため対策が一層重要となります。

記.大阪事務所4課