令和6年分の確定申告の3つの注意点
令和6年分確定申告の注意点「定額減税」
令和6年のみ導入されたもので、急速な物価上昇やエネルギー価格の高騰による家計への負担を軽減することが目的です。
確定申告を行う方は、この定額減税額を控除して計算を行う必要があることに注意が必要です。
この改正に伴い、申告書の第一表と第二表の様式が変更されています。第一表では44欄に、控除対象人数を記入し、その人数に3万円を乗じた金額を記入します。
なお、対象となる扶養親族は、扶養控除と同じく、どなたか一方でのみしか適用できません。
第二表では、中段当たりに「配偶者や親族に関する事項」欄があります。定額減税の対象となる親族については、右端の「その他」欄に「2」を記入します。
※ちなみにこの「その他」欄に「1」を記入するのは、所得金額調整控除の適用がある方の場合です。令和5年分までは「その他」欄の「調整」に○をつける方法でした。
定額減税の対象は、合計所得金額が1,805万円以下の納税者です。この所得を超過していると一切の定額減税の控除額がなくなりますので、もし納税者本人の所得がこれを超過している場合には、所得1,805万円以下の配偶者側で扶養親族の記載を行うことにより、配偶者側で定額減税を受けることができます。
扶養親族記載の入れ替えを失念して申告してしまった場合、申告期限後に更正の請求は出来ませんので、十分に注意してください。
令和6年分確定申告の注意点「住宅ローン控除特例対象個人」
いわゆる住宅ローン控除の適用について、令和6年居住分では借入限度額が引き下げられました(最高4,500万円)。
ただし、子育て世帯や若年夫婦世帯に配慮して、特例対象個人に該当した場合には、従前の借入限度額(最高5,000万円)のままとされています。
この特例対象個人とは、次のいずれかに該当する個人をいいます。
○夫婦のいずれかが40歳未満であること
○19歳未満の扶養親族を有すること
※年齢等は、原則、令和6年12月31日の現状による
特例対象個人に該当する場合で一定のときには、第二表の「配偶者や親族に関する事項」の「住宅」欄の「特個」に〇の記入が必要となります。
また、令和6年1月以降に建築確認を受けた新築住宅等に関して、令和6年中にその新築住宅に入居した方が住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、原則として省エネ基準に適合している必要があります。この場合には証明書等の提出が必要となりますので、工務店などに連絡をし、早めに書類収集を行うようにしましょう。
令和6年分確定申告の注意点「税務署収受印の廃止」
令和7年1月から税務署に郵送で届いた書類や、窓口で提出された書類について、税務署の収受印が押印されないことになりました。
この廃止について国税庁は、納税者の利便性の向上等の観点から、「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」を目指し、税務行政のDX化を推進するためと発表しています。つまり、電子申告の利用率をさらに高めるのが狙いです。
この廃止に伴い、申告書等を紙提出した場合、その提出日を表すものが無くなりますが、電子申告であればいつでもデータで提出日や内容が確認できます。
しかし、電子申告未利用者の全員が、今回から電子申告を利用するようになることは到底無理なため、当分の間は、希望者にはリーフレットを配布するそうです。
このリーフレットには、収受日と税務署名が記載されるようですが、何の書類を提出したかの記載は自身でメモ欄に記載する必要があります。
また、金融機関や行政機関などに、そのリーフレットと収受印なしの申告書控えの写しを提出できるかと言えば、おそらく証明力が弱いために、追加で納税証明や所得証明なども求められることとなると思われます。
結局のところ収受印の廃止は、国税庁にとっては電子申告利用を検討するきっかけになることが期待されますが、未利用者にとっては、手間が増えるだけものになりそうです。
記.大阪事務所4課