2024/11/06

株式会社の登記

商業登記について

会社は、会社法等の法律に基づいて設立のために必要な行為を行った後、設立の登記をすることによって成立します。そして、商号や代表者の氏名など、会社の重要な情報を国が管理する登記簿に登録して公開することにより、会社の信用を維持し、取引の安全と円滑を図っています。

会社の運営上、その重要な情報が変更されることもあるでしょう。その場合には、変更が生じたときから原則二週間以内にその変更事項の登記を行う必要があります。登記が遅れた場合には登記懈怠(けたい)として会社法違反となり代表者が過料に処される可能性もありますのでご注意ください。

なお、会社設立時に作成する定款に記載している事項に変更がある場合、定款変更の手続き(株主総会決議)を経て、その変更が登記事項であれば変更登記も必要になります。

主な変更時登記事項

(1)商号変更
商号とは会社の正式名称を指します。
商号を変更した際には、商号変更登記が必要になります。

(2)本店所在地の移転、支店の設置等
事業所の移転で本店所在地が変更となった場合は登記が必要です。
また、支店についても新たに設置する場合や移転、廃止する場合も同様に登記が必要になります。
なお、令和4年8月31日までは支店の所在地においても商号変更や本店移転等の登記が必要でしたが、令和4年9月1日からは本店所在地においてのみの登記でOKとなっています。

(3)目的の変更
会社設立時に事業の目的を定款に記載して設立登記を行いますが、設立後に新たな事業を始める場合等、定款に記載されている目的を変更(追加・削除も含みます。)するときも登記が必要になります。

(4)資本金の金額の変更
新たに株式を発行したり、剰余金・準備金を資本金に組み入れたりして資本金の額が増加した場合にはその変更登記が必要になります。
また、資本金の額が減少した場合も登記が必要になります。

(5)役員に関する事項
新たに役員を選任した場合や解任、辞任があった場合、役員の任期満了に伴う重任や退任があった場合についても登記が必要です。
役員の任期が何年かはそれぞれの会社で決められており、定款に記載されています(最長10年)。
任期満了に伴う重任や退任の登記は失念しやすい事項ですので、自社の役員の任期がいつまでになっているかは確認するようにしてください。

(6)代表者に関する事項
代表取締役はその氏名と住所が登記事項となっています。
そのため、代表取締役に変更があったり、代表取締役の住所に変更があった場合は登記が必要となります。
なお、代表取締役以外の役員は住所が登記事項となっていないため、住所変更があっても登記は不要となります。

上記以外にも株式の譲渡制限に関する事項、取締役会設置の有無や監査役設置の有無も登記事項となっています。

手続きについて

登記申請はご自身で行うことも可能ですが、必要書類や申請書の書き方など内容に関しては専門家以外にはなかなかわかりづらい部分があります。
そのため、費用はかかりますがその手続きを司法書士に依頼することもご一考いただくのがいいかと思います。
なお、ご自身で手続されたとしても登記手続きに係る登録免許税はかかります。

登記が完了した後は、税務関係の届出を提出しましょう。
商号や事業の目的、本店所在地、代表者、資本金の額に変更があった場合は所轄の税務署、都道府県、市町村にそれぞれ「異動届」を提出する必要があります。
本店所在地の変更については税務署への異動届と併せて「給与支払事務所等の移転届出書」の提出も必要です。

商号や本店所在地、代表者に変更があった場合は、労災保険、雇用保険、社会保険関係の手続きも必要になりますので税務関係の届出と併せて準備してください。

登記を失念していた場合の過料については上記の通りですが、最後に登記をした日から12年が経過すると「みなし解散」の状態になり、強制的に解散登記させられてしまいます。
特に役員の任期を10年としている会社は重任、退任の登記を失念したままにしておくとみなし解散となる恐れがあります。
直近では、令和6年10月10日に管轄登記所から該当する会社へ通知書が発送されています。

重要事項の変更の際は登記事項であるかどうかをご確認のうえ、変更登記や税務関係等の届出の提出をお忘れのないようご注意ください。

記.大阪事務所1課