令和6年居住ローン控除について
住宅借入金等特別控除の令和6年居住分(一般の新築住宅)
住宅借入金等特別控除は住宅ローン控除といわれることも多く、住宅購入等の借入金に対して一定の控除率をかけた金額を一定期間にわたって所得税から控除する制度です。
控除される税額は単純化すると下記の算式になります。
その年12月31日現在の借入金残高(限度額あり) × 控除率 = 特別控除額
令和6(2024)年居住分から認定長期優良住宅等に該当しない一般の新築住宅については原則として対象外とされるようになりました。
ただし、一般の新築住宅のうち、令和5(2023)年12月31日までに建築確認を受けたもの、又は、令和6(2024)年6月30日までに建築されたものは借入限度額を2,000万円、控除期間が10年間、控除率が0.7%で控除が可能です。
特例居住用家屋・特例認定住宅等に該当する場合は、令和5(2023)年12月31日までに建築確認を受けたものが対象でしたが、令和6(2024)年12月31日に延長されています。
※特例居住用家屋は床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の居住用家屋
特例認定住宅等は床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の認定住宅等
令和5(2023)年居住分では、一般の新築住宅で借入限度額3,000万円、控除期間13年、控除率0.7%でした。建築遅れ等で居住が令和6(2024年)になってしまった方は特別控除が少なくなってしまうようです。
新築住宅は一般の住宅が対象から外されましたが、買取再販住宅に該当するときは新築と同じ取り扱いになり、既存物件については、今まで通り一般の住宅も適用可能となりますのでご留意ください。
※買取再販住宅は、宅地建物取引業者が特定増改築等をした既存住宅を、その宅地建物取引業者の取得の日から2年以内に取得した場合の既存住宅
(その取得の時点において、その既存住宅が新築された日から起算して10年を経過したものに限ります。)をいいます。
※既存住宅は、建築後使用されたことのある家屋で、耐震基準に適合するものとして証明等がされたものをいいます。
所得要件として合計所得金額が2,000万円以下(特例居住用家屋、特例認定住宅等に該当するときは合計所得金額が1,000万円以下)の方が適用対象となっています。その他の適用要件は、今回は記載しておりませんのでご留意ください。
対象となる住宅の区分
住宅ローン控除対象になる、認定長期優良住宅等をご紹介します。
いずれかに該当する住宅が特別控除対象です。
聞きなれないものが多いので、簡単に概要説明します。
①認定長期優良住宅(長期優良住宅)
建築計画・維持保全計画を作成し所管行政庁に申請し認定を受ける住宅です。認定基準が10個あり、その中で耐震性の基準が厳しめで、建設側が断念することが多く、現状では数がまだ少ないそうです。
既存の住宅で認定を受けているものは「長期優良住宅」と表記されて販売されているようです。
②低炭素建築物(認定低炭素住宅)
低炭素建築物に該当すると建築士等が証明した住宅です。一般的な住宅に比べ、外壁の材質や太陽光発電などの再生可能エネルギーを設置し二酸化炭素の排出を抑えられる機能がついたもの。
③低炭素建築物とみなされる特定建築物(認定低炭素住宅)
②とみなされる建築物を所有する個人が申請にし市区町村により証明がされたものです。
④特定エネルギー消費性能向上住宅(ZEH水準省エネ住宅)
ZEHはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略語でエネルギー収支をゼロ以下にする住宅。『断熱等性能等級5』と『一次エネルギー消費量等級6』を同時に達成すると満たすようです。
⑤エネルギー消費性能向上住宅(省エネ基準適合住宅)
国土交通大臣と財務大臣が協議して決めた断熱性などの基準を建築士等が証明した住宅です。2025年4月以降に建設する住宅は義務化される予定のようです。近いうちに義務化予定のため、一般の新築住宅が住宅ローン控除から除外される流れと思われます。
子育て世帯・若者夫婦世帯の特例
前項で紹介した住宅の区分ごとに借入限度額、控除期間、控除率が規定されていますが、令和6(2024)年居住分から新たに子育て世帯・若者夫婦世帯の特例が設けられました。
子育て世帯:19歳未満の子を有する世帯
若者夫婦世帯:夫婦いずれかが40歳未満の世帯
【原則】
①認定長期優良住宅(長期優良住宅)
②低炭素建築物(認定低炭素住宅)
③低炭素建築物とみなされる特定建築物(認定低炭素住宅)
①~③は借入限度額4,500万円、控除期間 13年、控除率0.7%
④特定エネルギー消費性能向上住宅(ZEH水準省エネ住宅)
借入限度額3,500万円、控除期間 13年、控除率0.7%
⑤エネルギー消費性能向上住宅(省エネ基準適合住宅)
借入限度額3,000万円、控除期間 13年、控除率0.7%
【子育て世帯・若者夫婦世帯の特例】
①~③の借入限度額 原則4,500万円 → 特例5,000万円
④の借入限度額 原則3,500万円 → 特例4,500万円
⑤の借入限度額 原則3,000万円 → 特例4,000万円
令和5(2023)年の規定に比べ借入限度額が下がったため、子育て世帯・若者夫婦世帯は令和5(2023)年の限度額が維持されることになるようです。
今回は令和6(2024)年居住分についてまとめさせていただきました。令和5(2023)年以前については、内容が変更になっている部分がありますので、ご留意ください。詳細をご紹介しておりませんが、適用要件も前年まで主流であった一般の住宅の要件にプラスして住宅区分ごとの要件も満たす必要があります。
住宅ローン控除適用の際は、これまで以上に慎重に要件確認することをお勧めいたします。
記.東京事務所2課