企業がインフルエンサーへ報酬を支払った時の源泉徴収の取扱い
源泉徴収が必要な報酬等とは
居住者に対して支払う、源泉徴収対象となる報酬・料金等は国税庁が発行している「源泉徴収のしかた」に記載されている下記の内容です。
・弁護士、税理士などの業務に関する報酬料金
・司法書士、土地家屋調査士、海事代理人の業務に関する報酬料金
・外交員、集金人、電力量計の検針人の業務に関する報酬料金
・原稿料、講演料など
・職業運動家等(スポーツ選手やモデル等)の業務に関する報酬料金
・芸能人などに支払う出演料等
・芸能人の役務の提供を内容とする事業の報酬料金
・プロボクサーの業務に関する報酬料金
・コンパニオン等の業務に関する報酬料金
・役務の提供を約すること等により一時に支払う契約金(支度金等)
・事業の広告宣伝のための賞金
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
・馬主に支払う競馬の賞金
基本的にはここに列挙された支払内容だけが源泉徴収の対象です。
それぞれ源泉徴収税額を出す計算方法や税率が異なります。
関連しそうな報酬について
インフルエンサーの方が関連しそうな報酬の受け取る内容について考えていきたいと思います。
・原稿料
執筆者が出版社や広告事業者へ寄稿した原稿への対価が源泉徴収の対象となります。
インフルエンサーがSNSへ投稿することへの対価として支払われる報酬の場合、執筆者は自分のSNSへ原稿を載せているだけなので、原稿料としての源泉徴収対象とはならないと考えられます。
・広告宣伝のための賞金
企業が広告宣伝のために支払う賞金(優勝賞金等)も源泉徴収の対象ですが、インフルエンサーへの報酬の場合、賞金ではなくSNSへ投稿することに対する報酬ですので、こちらも該当しないと思われます。
・モデルに対する報酬
企業の広告物等に対してインフルエンサーの写真を載せるといった場合に受け取る報酬が該当します。
こちらも、自身のSNSに写真を載せているだけの場合、源泉徴収の対象となる支払いには該当しなさそうです。
SNSへ投稿を依頼するだけでは源泉徴収の対象外と考えられます
現状のところ、線引きが難しいところではありますが、芸能人の中にインフルエンサーは直接的に含まれていないと考えられます。
そのため、インフルエンサーへSNS等にお店や商品等の情報を投稿してもらうことに対する報酬は、芸能人の役務の提供を内容とする事業の報酬料金に今のところ該当しないと考えられます。
今後取り扱いが変更される可能性もあるので注意が必要です。
インフルエンサーに商品デザインを依頼する場合や、印刷するような広告媒体に載せる原稿を書いてもらったりインフルエンサーの写真を載せるといった場合は源泉徴収の対象となります。
いずれも、その支払内容が源泉徴収の対象に該当するかしないかは実態に基づいて判断することとなります。
SNSを利用したインフルエンサーという業態が新しいため、これまでの制度にうまく当てはまらない部分が多いようです。
記.東京事務所2課