インボイス課税事業者となった場合の取り扱い
インボイス制度の取りやめをする場合
インボイス制度を取りやめたい場合は、取りやめしようとする課税期間の初日から起算して15日前の日までに、「登録取消届出書」を提出する必要があります。
月末が31日の場合、15日前の日は17日ですが、その日が休日であっても、その翌日とはならないので注意が必要です。
また、「免税事業者が登録にかかる経過措置(インボイス登録に際し課税事業者選択届出書を提出しなくても課税事業者となる経過措置)により令和5年10月1日を含む課税期間」以外の課税期間にインボイス登録を受けた場合は、インボイス登録を取りやめたとしても、登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間は免税事業者となることができません。
令和5年10月1日を含む課税期間にインボイス登録により免税事業者が課税事業者となった場合は、上記の2年間の縛りはありませんが、9月決算法人でこれに該当する法人も、1年でインボイス登録を取りやめしようと思っても、9月16日までに「登録取消届出書」を提出する必要があったため、現時点で提出しても、翌課税期間も課税事業者となります。
ただし2年を待たずとも、決算期変更により課税事業者の期間を短くすることは可能です。
2割特例か一般(本則)課税か
2割特例とは、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者がインボイス登録により課税事業者となる場合に、簡易課税制度の計算のように、売上の消費税の2割を納税額とする経過措置で、申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することにより適用が受けられるものです。
9月決算法人以外は、2割特例の期間を最大4期適用可能です。9月決算法人は3期分となりますが、決算期変更をすれば、適用期間を延ばすことができます。
なお、2割特例を適用せず、一般(本則)課税により、1千万円以上の高額特定資産の課税仕入れを行った場合や、200万円以上の金地金等の課税仕入れを行った場合は、その後の事業者免税点制度の適用が制限される課税期間は2割特例を適用できないため、どちらで申告するか、その後の消費税申告のことも考慮する必要があります。
2割特例後の簡易課税制度の選択
簡易課税制度を適用して申告する場合には、原則として、その適用を受ける課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。
2割特例の適用を受けた事業者においては、翌課税期間中に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出し、提出した日の属する課税期間に簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した場合には、その課税期間の初日の前日に提出したものとみなされます。
2割特例を適用した翌課税期間であれば該当するため、2割特例か一般(本則)課税のどちらかで申告するかは、この点も含めて検討する必要があります。
なお、この規定は、「簡易課税制度選択届出書」のみの規定で、「簡易課税制度選択不適用届出書」は含まれていません。
記.東京事務所1課