2024/09/18

輸入消費税の控除について

輸入取引について

海外から商品を輸入した場合にも国内取引と同様に原則として消費税がかかります。
この場合の納税義務者は、「課税貨物を保税地域から引き取る者」とされており、課税事業者だけでなく、免税事業者や事業を行っていない給与所得者等であっても輸入品を引き取る際には消費税を納める必要があります。

また、課税される対象も、国内取引のような、「事業者が事業として対価を得て行った取引」でないとしても対象となります。

課税事業者の方が消費税の申告を行う際には、この支払った消費税についても仕入税額控除の適用を受けることができますが、一定の事項が記載された輸入許可書等の書類が保存されていることが要件の1つとされています。

輸入代行を依頼した場合

A社が海外から製品を購入するにあたり、輸入手続きを他のB社に委託し、B社が仕入書上の荷受人となり輸入貨物の引取り者(輸入者)として輸入申告を行うこととなる場合には、たとえ、後日その引取に係る輸入消費税相当額をA社からB社に対して支払うこととしている場合であっても、A社は、この支払った輸入消費税相当額について、仕入税額控除の適用を受けることは認められていません。

この保税地域から引き取った課税貨物に課された又は課されるべき消費税額について仕入税額控除を受けるべき事業者は、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》の規定に基づき、当該課税貨物を引き取った者、すなわち輸入申告を行った者になります。
そして、輸入取引により貨物が輸入される場合には、仕入書等に記載されている荷受人が輸入申告を行うこととなります。
したがって、輸入消費税に係る仕入税額控除は、輸入申告者であるB社が行うこととなり、A社において行うことはできません。

A社において、控除を受けようとする場合には、自ら輸入申告を行うか、輸入代行者に依頼をしてA社の申告手続きを行ってもらう必要があります。

実質的輸入者と輸入申告名義人が異なる場合

消費税法基本通達11-1-6《実質的な輸入者と輸入申告名義人が異なる場合の取り扱い》において、輸入申告者が単なる名義人であって実質的な輸入者が別にいるときに、次の要件を全て満たす場合に限り、実質的な輸入者に仕入税額控除の適用を認めるべき場合があることを示しています。

(1) 実質的な輸入者が、輸入申告者が引き取ったものとされる当該課税貨物を輸入申告後において輸入申告者に有償で譲渡する。

(2) 実質的な輸入者が、当該課税貨物の引取りに係る消費税額及び地方消費税額を負担する。

(3) 実質的な輸入者が、輸入申告者名義の輸入許可書及び同名義の引取りに係る消費税等の領収証書の原本を保存する。

ただしこの規定は、課税貨物について関税の軽減若しくは免除を受けるためには、輸入申告者が限定されている場合のような、輸入申告を行う者と実質的に輸入する者が別に存在することが想定される場合に限られているため、そういった特段の事情がない場合に認められるものではありませんので適用にあたっては税理士等へご相談ください。

記.東京事務所1課