2024/05/15

海外勤務中に株式を譲渡した場合の取り扱い

申告の対象となる国内源泉所得

給与所得者が海外勤務中であれば、一般的には恒久的施設を有しない非居住者に該当します。

恒久的施設を有しない非居住者が株式等を譲渡した場合、次の1から6のいずれかに該当する所得が申告対象の国内源泉所得として課税対象となります。このうち、1から5に該当するものについては、「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」に区分し、他の所得の金額と区分して税金を計算する申告分離課税となり、6に該当するものについては総合課税の対象となります。
なお、これらに該当する場合は確定申告が必要です

買集めによる株式等の譲渡による所得

同一銘柄の内国法人の株式等の買集めをし、その所有者である地位を利用して、その株式等をその内国法人もしくはその特殊関係者に対し、またはこれらの者もしくはその依頼する者のあっせんにより譲渡をすることによる所得

(注)「株式等の買集め」とは、金融商品取引所または認可金融商品取引業協会がその会員に対し特定の銘柄の株式につき価格の変動その他売買状況等に異常な動きをもたらす基因となると認められる相当数の株式の買集めがあり、またはその疑いがあるものとしてその売買内容等につき報告または資料の提出を求めた場合における買集めその他これに類する買集めをいいます。

事業譲渡類似の株式等の譲渡による所得

内国法人の特殊関係株主等である非居住者が行うその内国法人の一定の株式等の譲渡による所得

「一定の株式等の譲渡」とは、次の(1)および(2)に掲げる要件を満たす場合の非居住者のその譲渡の日の属する年(以下「譲渡年」といいます。)における次の(2)の株式または出資の譲渡をいいます。

(1)譲渡年以前3年以内のいずれかの時において、その内国法人の特殊関係株主等がその内国法人の発行済株式または出資の総数または総額の25パーセント以上に相当する数または金額の株式または出資を所有していたこと。

(2)譲渡年において、その非居住者を含むその内国法人の特殊関係株主等が、最初にその内国法人の株式または出資の譲渡をする直前のその内国法人の発行済株式または出資の総数または総額の5パーセント以上に相当する数または金額の株式または出資の譲渡をしたこと。

不動産関連法人の一定の株式の譲渡による所得

「不動産関連法人」とは、株式の譲渡の日から起算して365日前の日からその譲渡の直前の時までの間のいずれかの時において、その有する資産の価額の総額のうちに、国内にある土地等やその有する資産の価額の総額のうちに国内にある土地等の価額の合計額の占める割合が50パーセント以上である法人の株式など一定の資産の価額の合計額の占める割合が50パーセント以上である法人をいいます。

「一定の株式の譲渡」とは、次の(1)または(2)に掲げる株式または出資の譲渡をいいます。

(1)その譲渡の日の属する年の前年の12月31日において、その株式または出資(上場株式等に限ります。)に係る不動産関連法人の特殊関係株主等が、その不動産関連法人の発行済株式または出資の総数または総額の5パーセントを超える数または金額の株式または出資を有し、かつ、その株式または出資の譲渡をした者がその特殊関係株主等である場合のその譲渡

(2)その譲渡の日の属する年の前年の12月31日において、その株式または出資(上場株式等を除きます。)に係る不動産関連法人の特殊関係株主等が、その不動産関連法人の発行済株式等の総数または総額の2パーセントを超える数または金額の株式または出資を有し、かつ、その株式または出資の譲渡をした者がその特殊関係株主等である場合のその譲渡

その他の株式の譲渡所得

税制適格ストックオプションの権利行使により取得した特定株式等の譲渡による所得

日本に滞在する間に行う内国法人の株式等の譲渡による所得

日本国内にあるゴルフ場の株式形態のゴルフ会員権の譲渡による所得

などもあります。

なお、これらを含め前項に該当する場合であっても、租税条約により日本で課税されないことがあります。

記.大阪事務所2課