2024/04/17

公租公課について

公租公課とは

公租公課は租税公課とも言われ、国や地方公共団体に納める金銭ということになります。
「租税」は国や地方公共団体に支払う税金をいい、法人税、所得税、消費税、住民税、印紙税、登録免許税、固定資産税など様々な税金が含まれます。
「公課」は国や地方公共団体に支払う行政手数料や会費、交付金などの公的な課金をいい、具体的には、印鑑証明書や住民票の発行手数料その他公共サービスに対する手数料などがあります。
そのほか、延滞税、加算税や、駐車違反で切符を切られた際の交通反則金などの罰金についても「公課」に含まれます。

わが国にはおよそ50種類の税金があります。
【国税】
(1)所得課税・・・所得税、法人税、地方法人税、特別法人事業税、復興特別所得税
(2)資産課税等・・・相続税、贈与税、登録免許税、印紙税
(3)消費課税・・・消費税、酒税、たばこ税、たばこ特別税、揮発油税、地方揮発、油税、石油ガス税、航空機燃料税、石油石炭税、電源開発促進税、自動車重量税、国際観光旅客税、関税、とん税、特別とん税

【地方税】
(1)所得課税・・・住民税、事業税
(2)資産課税等・・・不動産取得税、固定資産税、特別土地保有税、法定外普通税、事業所税、都市計画税、水利地益税、共同施設税、宅地開発税、国民健康保険税、法定外目的税
(3)消費課税・・・地方消費税、地方たばこ税、ゴルフ場利用税、軽油引取税、自動車税、軽自動車税、鉱区税、狩猟税、鉱産税、入湯税  

費用になる公租公課とならない公租公課

公租公課は会計上、「租税公課」、「公租公課」、「法人税等」などの科目で費用や損失の額に計上されます。

法人税での取扱いは内容や性質によって損金の額に算入されるものと、損金の額に算入されないものにわかれます。
(1)損金に算入されるもの・・・印紙税、固定資産税、自動車税、事業税、消費税等、ゴルフ場利用税
(2)損金に算入されないもの・・・法人税、地方法人税、所得税、住民税など

所得税での取扱いは、基本的には法人税と同じですが、所得税の場合事業部分と事業以外の部分が両方混在する場合があるので、あくまで事業に関連する税金のみが経費となります。

例えば固定資産税の取り扱いで、店舗兼住宅の場合、法人税は全額経費になりますが、所得税では店舗部分しか経費になりません。また公租公課の損金算入時期ですが、次の3つの場合に分かれます。

(1)申告納税方式の場合・・・税金を納める時に自分で納めるべき金額を計算して納税する方法を申告納税方式といいます。事業税等の申告納税方式は、納税申告書を提出した事業年度です。

(2)賦課課税方式による場合・・・国や地方公共団体が納めるべき金額を計算し納税者に通知する方式を賦課課税方式といいます。不動産取得税、自動車税、固定資産税などの賦課課税方式による租税については、賦課決定のあった事業年度となります。ただし、納期の開始の日の属する事業年度または実際に納付した日の属する事業年度において損金経理をした場合には、その損金経理をした事業年度となります。

(3)特別徴収方式による場合・・・国や地方公共団体が税金を負担する人(納税者)から直接税金を徴収するのではなく、事業者を経由して間接的に税金を徴収する方法をいいます。ゴルフ場利用税、軽油引取税などの特別徴収方式による租税については、納入申告書を提出した事業年度です。

摩訶不思議な公租公課

公租公課について述べてきましたが、最後に不思議な取扱いをお話しします。

【不思議な固定資産税】
未経過固定資産税・・・
不動産を売買した場合の譲渡日から年末(あるいは年度末)までの固定資産税相当分のことをいいます。
固定資産税とは毎年1月1日に不動産の所有者に対して課される税金で、1年分を前納付しなければなりません。しかし、課税後にその不動産を売却した場合、売主にとってすでに所有していない土地や建物に対して税金を支払っていることになります。
そこで、不動産引き渡し後の固定資産税相当分を買主が売主に清算という形式で支払うのが一般的になっています。
これを未経過固定資産税といいます。未経過固定資産税は、売主が不動産の売却時に買主より受け取った売却価格の一部とみなされ、買主にとっては取得価額に含まれることになります。不動産の取得対価として売却金額に上乗せされるわけです。未経過固定資産税は不動産の所有者が納付するべき税金ではありません。
あくまでも不動産売買の当事者が独自に行う利益調整とみなしているため、不動産の譲渡日を根拠とした売主・買主の負担按分はもちろん、清算金の扱い自身税金の支払ではなく買主の取得価額、売り主の売買価額の一部として取り扱われます。

【恐怖の事業税】
事業税とは・・・
事業を行っていることに課税される税金で、国ではなく地方に納める税金です。
例えばAという個人が保険診療のみの整骨院を経営しているとします。さらにAが100%出資した法人㈱Bを作ったとします。
同じ事業を行っているとして、Aは個人事業税はかかりませんが、㈱Bは法人事業税が課税されます。

これは地方税法第72条の23第3項に規定する医業、歯科医業、薬剤師等、あん摩・マッサージまたは指圧・はり・きゅう・柔道整復業を営む方の社会保険診療報酬にかかる所得は、個人事業税では非課税所得とされており、法人事業税ではその規定がないからです。

【租税の黒歴史】
人頭税・・・
1638年から1903年頃まで、宮古島や八重山諸島の住民に対して人頭税という税を課していた様です。これは文字通り人数に対して課税する方法で、負担が大きかったようです。税金としては男性には穀物、女性には織物を納付させていた様です。人頭税石と言われる高さ143㎝の石碑と同じ身長に達すると課税されるシステムだったので、課税を逃れる為人減らしを行っていた様です。今でも住民税の均等割りはその性格を有するものと考えられます。

以上、公租公課についてお話させて頂きました。

記.大阪事務所1課