2024/03/21

特別徴収した住民税について

住民税の特別徴収とは

まずは住民税の特別徴収について大まかに書かせて頂きます。
住民税の特別徴収は従業員が納付すべき住民税を企業が従業員の給与から控除して納付する制度です。

イメージとしては所得税を給与天引きして納付するのと同じですが、住民税は前年の所得に課税されるため、企業が毎月の給与をもとに税額を計算するものではありません。
毎年5月に従業員が1月1日に住民票を置いていた市区町村から、当年6月から翌年5月までの納付額が通知されます。企業はその通知書通りに従業員の給与から天引きして住民税を納付していきます。 

特別徴収の手順、納付時期

・特別徴収の手順

住民税の特別徴収にあたって、事業者は次のような手続きを行う必要があります。
1.給与支払報告書を市区町村に提出する
⇒前年1月から12月までの1年間に各従業員に支払った給与額をまとめ、1月31日までに「給与支払報告書」を提出します。提出先は、従業員が居住するそれぞれの市区町村です。
  
2.市区町村から特別徴収税額決定通知が届く
⇒従業員が居住する市区町村から、5月頃に特別徴収税額決定通知が届きます。この通知に特別徴収する住民税額が記載されています。
 
3.従業員の毎月の給与から住民税を控除する
⇒6月の給与から住民税の特別徴収を開始し、翌年5月まで、毎月の従業員の給与から住民税を控除します。
 
4.住民税を納付する
⇒従業員の給与から控除した住民税を、翌月10日までに市区町村に納付します。

・特別徴収した住民税の納付時期
  
特別徴収では給与天引きした住民税を翌月10日までに納付しますが、特例で特別徴収する従業員が常時10人未満の企業に限り、市区町村長に対して申請すれば12月10日(6月~11月分)と6月10日(12月~5月分)の年2回の納付に変更することが出来ます。所得税の納期の特例と同じような制度ですが、所得税の納期の特例の納期限(7月10日、1月20日)と比較すると1か月ほどズレがあるので注意が必要です。なお、この特例を利用すれば納付回数を減らせることから銀行手数料を節約出来ます。

納付方法の種類

特別徴収した住民税の納付方法は複数あります。企業が選択することが出来ますので、導入しているシステムの機能やネットバンキングの利用状況を考慮して処理の便利な方法で納付しましょう。

1.納入書による納付(特別徴収税額通知書に同封されて郵送されてきます。この納入書により金融機関窓口で納付する際に新たに手数料が発生するケースが増えているようです)
給与支払報告書を提出した市区町村から送付されてきます。納入書には月々の納付金額が印字されておりそのまま金融機関窓口で納付できますが、納入書に記載された金融機関での納付でないと手数料が発生します。退職・転勤等により納付金額に変更が生じた場合は、金額を訂正してください。

2.eLTAXの地方税共通納税システムによる納付
地方税共同機構が運営するeLTAX(エルタックス)の「地方税共通納税システム」を利用して、金融機関窓口等へ出向くことなく全地方公共団体へ電子納付が出来ます。納付手数料はかかりませんが、PCでの各種設定が必要になります(詳しい利用方法や利用可能な時間帯、金融機関等については、eLTAX(エルタックス)ホームページをご覧ください)。

3.銀行のオンライン(地方税納入サービスや総合振込によるデータ送信等)による納付
インターネットバンキングを利用して納付する方法です。金融機関により納付手続方法、手数料は様々ですが納入書による納付に比べると手数料を低く抑えることが出来ます。

以上のことから銀行手数料がなるべく掛からない方法を整理しますと、
 
①住民税の納期の特例(半年に1回納付)を利用する。
②eLTAXの地方税共通納税システムによる納付を利用する。
③銀行のオンライン納付を利用する。

というものが考えられます。

記.東京事務所2課