2024/03/06

交際費等に係る改正点・R6税制改正大綱

交際費等と損金不算入額について

まず初めに、法人税法上、交際費等とは以下のように定義されております。
 
「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。」

上記交際費等の金額は、原則として、その全額が損金不算入とされていますが、会社の規模に応じて、一定の金額までは経費に出来る、下記の措置が設けられています。

中小企業(期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人)次のいずれかの金額
① 交際費等の金額のうち、年間800万円(事業年度が12ヶ月に満たない場合は月割で計算)まで

② 交際費等の金額のうち、飲食等の費用の50%の金額
(社外の人が参加していない、いわゆる「社内飲食費」は除きます。)

大企業(上記以外の法人)
① 上記②の金額
(期末の資本金の額または出資金の額が100億円を超える法人等は、全額が損金不算入となります。)

整理すると、交際費のうち、社外との飲食費の50%は損金にすることが出来、中小企業に関しては選択制で、年間800万円まで全額損金にすることも出来ることとなっています。

交際費等の範囲から除かれるものと改正点

前項で、交際費の損金不算入金額について記載しましたが、下記のいずれかに該当する場合は、そもそも交際費等の範囲から除かれます。

1.専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用

2.1回1人あたり5,000円以下である飲食費
(日付、相手先、参加者数等、一定の事項を記載した書類の保存が必要になります。また、いわゆる「社内飲食費」については除きます。)

3.その他の費用
(カレンダー等の物品の費用、会議に関連する飲食費等)

この内、2の飲食費に係る金額の基準が、現行の5,000円以下から、10、000円以下に引上げられることとなりました。※税込金額と税抜金額のどちらで判定するかは、会社の消費税等の経理処理方法によります。

また、交際費等を損金算入出来る規定自体が、租税特別措置法の為、令和5年度末(令和6年3月31日)までの時限措置でしたが、前項で記載した「中小企業の800万円の特例」と併せて、3年間延長となり、令和8年度末(令和9年3月31日)まで、適用可能となりました。

税務上の交際費に該当しない社外との飲食費は、単純に、現行の2倍の金額に拡充されることになります。2人で飲食した場合、20,000円以下であれば交際費以外の飲食費として全額損金になり、超えた場合も50%が損金になる為、800万円の特例がない大企業にとって、特に影響が大きい改正と言えます。

適用開始時期と準備について

上記の改正は「令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用する」と大綱に記載されています。 

その為、3月決算の法人は、新制度適用に併せて新年度になりますが、それ以外の法人は、同年度に新旧の制度が混在することになるので、ご注意ください。

制度の変わり目は、内容の把握や規定の整備で混乱する可能性がありますので、従来の5,000円を基準とした社内規定や、経費精算のルール等の見直しもご検討ください。

詳細を省いて記載している箇所もございますので、支払したものが損金に算入されるかは、専門家へご相談ください。

地域経済や、中小企業の活性化を目的とした改正ですので、物価上昇に負けない経済の実現を願っております。

記.東京事務所2課