2024/02/26

免税事業者がインボイス登録・取消時の消費税

免税事業者が登録を受ける場合

適格請求書発行事業者の登録は消費税の課税事業者しか受けることはできず、免税事業者が登録を受ける場合には課税事業者となる必要があります。

本来、免税事業者が課税事業者となるには、課税事業者となる課税期間の前日までに「課税事業者選択届出書」を提出しておく必要があり、実際にインボイス制度が始まりその影響からやはり登録を受けたくなった場合でも事前に提出をしていない場合には課税期間の途中から課税事業者となることはできず、翌課税期間から課税事業者になり登録を受けることになってしまいます。

そこで、影響の大きさを踏まえ経過措置として、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中であれば、事前に課税事業者選択届出書を提出していない場合であっても、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出することで登録を受けた日(提出日から15日以後の登録を受ける日として希望する日)から課税事業者となることが可能となっています。

なお、令和11年10月1日以後については、課税期間の途中から課税事業者となり登録を受けることはできず、登録を受けようとする課税期間の前日までに「課税事業者選択届出書」を提出し、課税期間の初日から起算して15日前の日までに「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出することで、翌課税期間の初日から登録を受けることとなります。

登録の取消しと納税義務

登録を取り消す場合には、「登録の取消しを求める旨の届出書」を取り消したい課税期間の初日から起算して15日前の日までに提出しなければなりません。 

登録を受ける場合とは違い、課税期間の途中から登録を取り消すといった経過措置はなく、翌課税期間の初日から登録が取り消されることとなります。
 
上記により令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間から登録を受け課税事業者となった場合には、その後、登録を取り消した場合であっても登録日から2年経過日の属する課税期間の末日までは免税事業者となれず消費税の納税義務が生じます。
ただし、登録開始日が令和5年10月1日を含む課税期間である場合には、この規定の適用はなく登録日を含む課税期間の翌課税期間から登録を取り消した場合には、その翌課税期間から免税事業者となることが可能となっています。

令和11年10月1日以後については特殊な取り扱いは無く、課税事業者選択届出書を提出した場合の規定通りに取り扱われます。

登録時期など

国税庁から公表されている登録件数の推移をみると、制度開始前1年は毎月20~30万件ほど登録されていましたが、制度開始後は毎月10万件前後の登録となっており登録申請も比較的落ち着いてきたように見えますが、1月末時点での登録までの目安は、e-Taxによる提出で約1か月、書面による提出で約1.5か月と登録通知を受けるまではまだ時間がかかりそうです。

登録を受ける場合や取消す場合などインボイス関係の手続きの提出期限は他の届出書等とは異なり課税期間の末日などではなく、その課税期間の初日から起算して15日前の日といったように特殊なケースが多いため、提出期限には特に注意が必要になります。

また、取消しの場合はその15日前の日が土日祝日となる場合でもその翌日に期限が延長されないのでご注意下さい。

これから登録を検討されている方や取りやめを検討されている方はお早めに税理士へご相談をいただけると安心かと思います。

記.東京事務所1課