2024/02/14

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の改正

経営セーフティ共済の概要

経営セーフティ共済は独立行政法人 中小企業基盤整備機構が行っている共済制度です。
正式名称は中小企業倒産防止共済といい、取引先が倒産した際に、共済加入者が共済から借入をすることができ、連鎖倒産や経営難に陥るのを防ぐための制度となっています。
 
経営セーフティ共済の特徴としては、無担保・無保証人で掛金の10倍までの借入れが可能で、取引先の倒産後にすぐに借入れが可能です。解約時に返戻金を受け取ることもでき、掛金を12ヶ月以上の納付で8割、40ヶ月以上の納付で全額が戻ってきます。

また、月5,000円~20万円までの掛金で、上限800万円まで積み立てすることができ、掛金を支払った時に一括で損金(個人の場合は必要経費)にすることができます。

改正内容

経営セーフティ共済を活用した節税対策に対して一定の措置を講じることとされました。
経営セーフティ共済は「特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例」により、支払日の属する事業年度(個人は年)に全額を損金算入することができます。今回の改正により、共済の契約解除があった後に再契約した場合、「その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する当該共済契約に係る掛金については、本特例の適用はできないこととする」とされました。
経営セーフティ共済そのものは解約後でもすぐに再加入することはできますが、その後2年間は支払った掛金は損金として計上することができないことになります。

この改正は令和6年10月1日以後の経営セーフティ共済の解約について適用されることになります。

まとめ

中小企業庁から経営セーフティ共済に関する調査報告に関する資料が公表されていました。
その資料を確認すると、平成20年以降の加入件数や在籍件数の増加に対して、共済の目的である貸付け状況は30分の1以下に減っており、令和2年~令和4年の加入者のうち約16%が再加入者で、その再加入者のうち、8割が2年未満の再加入との記載がありました。
 
アンケートにおいても共済加入者の主な目的が税制上の優遇が主な理由となっており、上記のような短期的な脱退・再加入について、共済本来の目的から離れたものとして問題視されたようでした。

改正後は解約日から2年間は制限があるので、解約日と制限が解除される日を忘れないように注意が必要かと思います。
また、新たな顧問税理士との契約をされる際などは、契約以前の共済の契約状況などお伝えいただく必要があるかと思います

記.東京事務所1課