2023/12/22

オペレーティングリースの活用について

オペレーティングリースとは?

「リース取引」とは、特定の物件の所有者たる貸手が、当該物件の借手に対して予め合意された期間においてそれを使用収益する権利を与え、一方で借手は、合意された使用料を貸手に支払う取引を指します。

リース取引は、大きく分けて「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」の二つに分類されます。

「オペレーティングリース」は、税務上は「ファイナンスリース以外の賃貸借取引をいう」、会計上は「ファイナンスリース以外をいう」と定義されています。「ファイナンスリース」は、ノンキャンセラブル(中途解約不可)で、フルペイアウト(借主がそのリース物件からもたらされる経済的な利益を享受し、かつ使用に伴い生じるコストを実質的に負担すること)の要件に該当するものですので、そうでなければ「オペレーティングリース」ということになります。

オペレーティングリース活用スキームの仕組み

結論から申し上げますと、このスキームについては原則として単なる「利益の繰延」です。

まずは、オペ―レーティングリースの流れについて、航空機の例で見てみましょう。
※なお、皆さんがこのスキームを使う場合には、「投資家」の立場となります。

・匿名組合営業者(以下「営業者」という)が「投資家」から出資を募り資金を集めます。

・目的の航空機の購入に際し、投資家からの資金だけでは不足する場合は、営業者が金融機関から必要金額を借り入れます。

・営業者は上記の資金で目的の航空機を購入します。

・その航空機は航空会社(賃借人)にリース契約で貸し出し、営業者はリース料を得て収益とし、金融機関から借り入れを行っている場合には得た収益から、借入金の元本と利息を金融機関に返済します。

・リース期間終了後、営業者は航空機を売却し、金融機関への返済等を行った残金から、出資持ち分に応じた金額をそれぞれの投資家に分配します。

募集されているオペレーティングリースに対し、投資家として出資をすると、投資した期に投資した金額の約80%程度(※)を、その翌期に残りの約20%程度を損金として計上し、リース期間終了時に分配された金額をその期において益金として計上することとなります。
※投資した期における損金算入額は、オペレーティングリースの商品によって異なります。

通常は資産を購入すると、1年目の減価償却費は月数按分されますが、オペレーティングリースの投資の場合には、たとえ決算月に出資した場合であっても出資額の約80%程度を損金計上することができます。

オペレーティングリースを活用した投資の特徴

オペレーティングリースを活用した投資について、特徴を纏めると以下の通りです。

・先にも述べた通り、原則は単なる利益の繰延。

・決算日直前でも大きな損金計上が期待できる。

・一般的に一口あたりの最低投資金額が中小企業からすればかなり高額である。
(安い商品であっても一口1,000万円以上と思った方が良いでしょう)

・常に希望するようなオペレーティングリース商品が出資したい時期に募集されているとは限らない。

・円建ての商品は少なく、外国商品については為替の変動リスクがある。

・賃借人等や倒産や残存物件の売却価額によっては元本を回収できないリスクがないとはいえない。

・原則として中途解約はできない。

・将来の税制改正により想定外の損失を被る可能性がないとはいえない。

・リース物件が事故等にあった場合には、支払われる保険料により当初の予定額が変動したり、リース期間の変動も生じること考えられる。

・商品や状況によっては追加出資を求められるケースもないとはいえない。

など。

決算直前でも効果のあるスキームではあるものの、結局は「投資」であるため上記に記載した以外にも、物件の種類や契約の内容によっては想定外のリスクが存在するかもしれません。
投資ですので、実施した場合のリスクはあくまで自己責任です。
そのため、実施する場合には、その商品に対し契約書等をしっかり確認し、メリットやデメリット等も十分に把握した上で行うべきでしょう。

記.名古屋事務所1課