紹介料の会計処理
紹介料の支払に係る会計処理
①紹介料の支払先が紹介を業として行っている個人事業者や法人である場合には、支払手数料という勘定科目で処理を行うことが一般的だと思います。
(支払手数料)×××/ (現金預金)×××
(仮払消費税) ××/
②しかし、紹介業者以外が支払先である場合には原則として謝礼の支払と扱われ交際費と処理することになるでしょう。
(交際費) ×××/ (現金預金)×××
③自社の従業員から友人や親戚を紹介され紹介料を支払う場合には、給与の手当の加算とされて源泉徴収の対象となります。
(給与手当) ×××/ (現金預金)×××
/ (預り金) ××
どの場合においても経費なのだからこだわる必要ないのでは?と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。
では、上記の処理の違いでどのように税金計算上の影響が発生するか次で述べさせていただきます。
紹介料の会計処理による税金計算への影響
①支払手数料と処理する場合
販売費として損金となります。かつ、消費税の課税取引となり仕入税額控除が可能です。当然、取引金額が一般的に妥当な金額である必要があります。不相当に高額であれば寄付金認定される可能性もあります。その場合には寄付金部分は消費税の課税取引となりません。
②交際費と処理する場合
謝礼の支払であり、消費税の課税対象外取引となります。従って仕入税額控除はできません。また、交際費の限度額を超えるような法人、一定の要件により交際費を全額損金不算入とされる法人では、法人税の計算にも影響があります。
③給与手当と処理する場合
先に述べたように受取った社員は給与所得として源泉所得税の課税対象となります。給与の支払なので消費税の課税対象外取引となり仕入税額控除はできません。
このようにそれぞれ課税上の扱いに差異が発生するのです。とくに②の交際費と処理される場合には不利益になりますので交際費ではなく支払手数料として処理できる方法を検討してみましょう。
情報提供料と交際費との区分
措置法関係通達61の4(1)-8
法人が取引に関する情報の提供又は取引の媒介、代理、あっせん等の役務の提供(以下情報提供等という)を行うことを業としていない者に対して情報提供等の対価として金品を交付した場合であっても、その金品の交付につき例えば次の要件の全てを満たしている等その金品の交付が正当な対価の支払であると認められるときは、その交付に要した費用は交際費等に該当しない。
(1)その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。
(2)提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。
(3)その交付した金品の価額がその役務の内容に照らし相当と認められること。
以上の要件を備えることにより交際費ではなく支払手数料として処理が可能になります。
簡単に言いますと、規定に従って支払われる金額または料率が定められており特定の紹介者に多く支払われたりなどの合理性、公平性に欠けた取引でないことが求められます。
実際の税務調査では問題とされることが多い支出項目です。上記要件について明確に説明できるようにしておきましょう。
記.名古屋事務所1課