2023/11/22

年収130万超の社会保険の扶養

社会保険の扶養要件

社会保険の扶養となる前提条件

(収入要件)
年収が130万円未満かつ扶養者の年収の1/2未満であること。(同一世帯)年収が130万円未満かつ扶養者からの援助による収入額より少ないこと。

(同一世帯でない場合)
※年収には交通費を含みます。

(同一世帯の条件)
1.被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で主として被保険者に生計を維持されている人
※必ず同居している必要はありません。
2.被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている人
同一の世帯」とは、同居して家計を共にしている状態をいいます。

① 被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)
② 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子
※75歳以上の方は後期高齢者医療制度の被保険者となる為に、被扶養者になる事は出来ません。

補足として、2022年10月に社会保険制度が改正され、従業員数101人以上500人未満の事業所で働いている方で、年収が106万円(月額8.8万円以上)を超えると社会保険に加入する事になりました。2024年10月からは従業員数51人以上の事業所も対象になる予定です。
パートやアルバイトで働く方のうち、社会保険の加入対象者は増えるものと思われます。

制度の概要

政府は2023年10月から「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」という暫定的な取り組みを始めます。

本来、被扶養者の認定には過去の課税証明書、給与明細書、雇用契約書などの確認が必要ですが、パート・アルバイトで働く人が繁忙期に労働時間を延ばすなどして一時的に130万円以上となっても事業主がその旨を証明することで、継続して扶養に入り続けられるようになりました。
扶養されている全ての方が対象となります。
手続きはパート・アルバイトの方が職場から一時的に収入が増加した旨の証明をもらい、被保険者の職場が加入する保険組合に証明書を提出し、審査を受けるという流れになります。証明書の様式は厚生労働省のホームページから取得する事が出来ます。

詳細

被扶養者の収入が130万円を超えたとしても、誰もが適用出来るわけではありません。

1.一時的な収入変動として認められる必要がある。一時的な収入変動とは以下のような理由が考えられ、時間外労働(残業)や臨時手当が対象となります。
・他の従業員が退職、休職したことで、労働者の業務量が増加
・突発的な案件により、事業所の業務量が増加
・事業が好調だったことで、事業所の業務量が増加

基本給が上がった場合や恒常的な手当が支給される場合等、収入が増えることが確実な場合は、一時的な収入増加には該当しません。被扶養者が被保険者と同一世帯に属している場合、被扶養者の年間収入が被保険者の年間収入を上回る場合は被扶養者から外れることになります。一時的な収入変動の具体的な上限額は明確にされておらず、収入金額だけで一時的な変動だと判断出来ない事が原因ではないかと思われます。

2.一時的な事情の認定は連続2年まで事業主の証明による被扶養者認定は、同一の者について原則として連続2年までが上限となります。

3.個人事業主(フリーランス)は対象外
被扶養者認定の円滑化は、人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入変動を対象としている為、特定の事業主と雇用関係にない人は対象となりません。ただし、自営業者としての収入と給与収入の両方がある場合、給与収入が一時的な収入変動で増加したことにより被扶養者の認定基準額を超えた場合は対象になります。

記.大阪事務所3課