2023/10/11

税制改正大綱のインボイスの改正点

納税額を売上税額の2割に軽減

仕入税額控除の金額を、特別控除税額(課税標準である金額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額の100分の80に相当する金額)とすることができます。(いわゆる2割特例)

2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になられた方が対象です。したがって、基準期間における課税売上高が1千万円を超える事業者の方、資本金1千万円以上の新設法人、調整対象固定資産や高額特定資産を取得して仕入税額控除を行った事業者の方等、インボイス発行事業者の登録と関係なく事業者免税点制度の適用を受けないこととなる場合や、課税期間を1カ月又は3カ月に短縮する特例の適用を受ける場合などについては、2割特例の対象とはなりません。

2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となります。

2割特例の適用に当たっては、事前の届出は必要なく、消費税の申告時に消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することで適用を受けることができます。また、2割特例を適用して申告した翌課税期間において継続して2割特例を適用しなければならないといった制限はなく、課税期間ごとに2割特例を適用して申告するか否かについて判断することができます。

少額特例

少額(税込1万円未満)の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくとも一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができます。これは取引先がインボイス発行事業者であるかどうかは関係なく、免税事業者であっても同様です。

基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者が、適用対象者となります。

少額特例は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間が適用対象期間となります。

少額な返還インボイスの交付義務免除

インボイス発行事業者が国内で行った課税資産の譲渡等につき、返品や値引き、割戻しなどの売上げに係る対価の返還等を行った場合には返還インボイスの交付義務がありますが、その金額が税込1万円未満である場合には、返還インボイスの交付義務が免除されます。

売手が負担する振込手数料相当額を、課税仕入れとして処理している場合には金融機関や取引先から受領するインボイスが必要となります。なお、売手が負担する振込手数料相当額について、経理処理を支払手数料としつつ、消費税法上、売上げに係る対価の返還等とすることもできますが、この場合であっても、売手が買手に対して売上げに係る対価の返還等を行った場合の適用税率は、売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等の適用税率に従うことから、適用税率に応じた区分のほか、帳簿に売上げに係る対価の返還等に係る事項を記載する必要があります。この点、支払手数料のコードを売上げに係る対価の返還等と分かるように別に用意するといった、通常の支払手数料と判別できるように明らかにする対応が考えられます。

インボイス発行事業者に係る登録制度の見直し

免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日の属する課税期間において、令和5年10月2日以後にインボイス発行事業者となる場合には、「適格請求書発行事業者の登録申請書」に登録希望日(提出日から15日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)
を記載する必要があります。この場合、税務署長は当該登録希望日により登録をすることになります。なお、実際に登録が完了した日が、登録希望日後であっても、登録希望日に登録を受けたものとみなされます。

例えば、令和6年1月17日までに申請書を提出登録希望日は令和6年2月1日を記載

登録の通知が登録希望日までに届かない場合であっても、登録希望日に遡って登録を受けたものとみなします。

翌課税期間の初日から登録を取りやめる場合の取消届出書の提出期限の見直しについて翌課税期間の初日からインボイス発行事業者の登録を取りやめる場合の「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」の提出期限について、取りやめる課税期間の初日から起算して15日前の日までに変更されました。

例えば、提出期限(15日前)令和6年1月17日までに取り消しの申請書を提出取りやめの課税期間は(初日)令和6年2月1日になります。

記.大阪事務所2課