2023/09/27

申告書や届出書の提出について

申告書や届出書に関する書類の提出時期

申告書や届出書に関する書類の提出日は、原則として税務官庁に書類が到達した日となります。これを到達主義と言います。ただし、申告書や届出書が郵便や 信書便により提出された場合、その郵便物や信書便物の通信日付印により表示された日が提出日とみなされます。これを発信主義と言います。発信主義が適用される申告書・届出書は、期限までに郵便局から送付すれば期限内扱いなりますので、証明として簡易書留で送付することが多いです。
多くの申告書・届出書は発信主義が適用されますが、次のように一部原則である到達主義が適用される申告書・届出書があります。

到達主義が適用される申告書
・給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書他

到達主義が適用される届出書等
・青色事業専従者給与に関する変更届出書
・所得税のたな卸資産の特別な評価方法の承認申請書
・消費税課税事業者届出書
・異動事項に関する届出書他。

※ 税務手続に関する書類は「信書」に該当するため、作成済みの書類を送付する場合には、「郵便物」(第一種郵便物)又は「信書便物」として送付します。

「信書」とは特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と郵便法及び信書便法に規定されています。

申告書や届出書の提出方法

申告書や届出書の提出方法については、①窓口へ持参あるいは時間外文書収受箱②郵送③e-tax(電子申告)で提出する次の様な方法があります。

①窓口への持参
税務署の窓口に行って書類を提出する。提出期限日の17時にまでに提出。

②時間外文書収受箱に投函
確定申告書類などを投函できる鉄製の箱がすべての税務署に設置されています。24時間、365日いつでも書類を投函できる為、閉庁後に投函された書類は、翌開庁日の朝に職員が回収します。
朝に回収された書類は、その前日以前に提出されたものとみなされるので、提出期限日の翌朝職員が回収するまで期限内となります。利用方法としては、書類を封筒に入れて投函して、切手は不要です。
封筒のサイズに規定はないので、小さい封筒に書類を折って入れても大丈夫です。封筒には中身を記載しておくとベター(「〇〇在中」など)

③郵送での提出
郵便局の窓口や郵便ポストから書類を送付できるので、税務署が開いている時間に提出できない人には、有力な手段です。

④e-Tax(電子申告)での提出
ネットを使ってe-Taxで確定申告を提出する方法です。パソコンとネット環境があるのなら、この方法が一番おすすめです。e-Taxを利用するにはマイナンバーカードを利用する「マイナンバー方式」と「ID・パスワード
方式」の2つの方法がありますが、ID・パスワード方式はあくまでもマイナンバーカードを持っていない人のための暫定的な方法のため、今後も使い続けられるとは限りません。e-Taxを利用するならマイナンバー方式を利用しましょう。

時間外文書収受箱に関する裁決事例

時間外文書収受箱に入れた申告書が、期限内申告か期限後申告かで争った、国税不服審判所の平成14年の裁決事例があります。

衣料品等小売業を営む法人が、平成12年3月1日から平成13年2月28日までの課税期間の消費税及び地方消費税の確定申告書を申告期限である平成13年5月1日(火)21時55分頃時間外文書収受箱に投函して期限内申告として提出しました。税務署はこれに対して申告書は5月2日(水)として受理し、無申告加算税を賦課決定した処分につき争った事例です。
結果としては納税者が勝訴し、期限内申告が認められましたが、勝因はその申告書の提出の行為を自身の手帳に詳細に残していたということでした。

国税不服審判所の判断の文書を下記に引用すると、

「本件文書収受箱の文書取出口は、底から高さ22cmまで仕切りがあり、その上の取出し扉を開けるようになっているが、文書収受箱の設置場所では、取出口を正面から見ることが難しいことから、本件申告書が定型封筒に入れられて投函された場合には、封筒が横向きに文書取出口の手前に立ったままの状態であれば、たとえ外からのぞいたとしても死角となることが、認められる。原処分庁は、時間外文書収受箱から回収した本件申告書が、法定申告期限を1日徒過した申告書である旨主張するが、請求人の答述等に矛盾はなく、申告書が文書収受箱に投かんされた日を断定するに足る証拠は認められないものの、申告書が封入された封筒の形状及び文書収受箱の構造上の問題から、申告書が回収漏れとなっていた可能性を否定できない以上、本件申告書は法定申告期限内に提出されたものと認めるのが相当である。」

ここから言えることは、確たる証拠を提出できなくても、その事実関係が何らかの証言や書類で証明できるなら、それは認められる可能性があるという事です。何事もあきらめてはいけません。
ただギリギリの申告はトラブルが発生する可能性があるので、余裕をもって提出しましょう。

記.大阪事務所1課