2023/09/06

法人住民税について

法人住民税とは

法人住民税は通称ですが、その内容は「道府県民税」と「市町村民税」となります。東京都は道府県民税、市町村民税に相当するものをまとめて「都民税」として課税されます。

道府県民税、市町村民税、都民税のいずれについても、所得金額(正確には所得に対する法人税額)に対して課税される「法人税割」と、所得金額に関係なく課税される「均等割」があります。均等割は所得金額に関係なく課税されるため、たとえ赤字であったとしても納税しなければなりません。

(1)事務所等がある場合
法人は事務所等の所在する都道府県、市町村に対して、法人税割と均等割を納める義務があります。事務所等が複数の都道府県、市町村に存在する場合は、その所在するすべての都道府県、市町村に対して、法人税割と均等割の申告及び納付を行わなければなりません。

(2)事務所等がなく、寮等がある場合
法人が事務所等ではなく、寮等を有する場合で、その寮等が所在する都道府県、市町村に事務所等がない場合には均等割のみを納める義務があり、法人税割を納める義務はありません。

事務所等と寮等

(1)事務所等
事務所等とは、自己の所有に属するものであるか否かにかかわらず、事業の必要から設けられた人的設備及び物的設備であって、そこで継続して事業が行われる場所をいいます。具体的には店舗や工場などが該当します。ここで、「人的設備」とは事業に対し労務を提供することにより事業活動に従事する人をいい、法人の役員、アルバイト、パートタイマー等も含まれます。 そして、「物的設備」とは自己の所有に属するか否かにかかわらず、事業の活動を行うために人為的に設けられる有形の施設であり、事業が行われるのに必要な土地、建物があり、その中に事業を行うための設備が備えられているものをいいます。
ただ材料置き場として利用している倉庫で人員を配置していないような場合は、上記の人的設備の要件を満たさないため事務所等には該当しません。また、たまたま2、3カ月程度の期間、設けられる一時的な現場事務所も事業の継続性を有さないということで事務所等には該当しません。
人的設備、物的設備、事業の継続性という3要件を満たす場合のみ、事務所等に該当します。

(2)寮等
次に、寮等とは寮、宿泊所、クラブ、保養所、集会所その他これらに類するもので、法人が従業員の宿泊、慰安、娯楽等の便宜を図るために常時設けられている施設をいいます。これも法人所有であるかは問わず、たとえ賃貸であっても該当することになります。ただし、特定の従業員の居住のための施設等(社宅等)はこの寮等には含まれません。

法人税割と均等割

法人住民税には、法人税割と均等割があることは上記のとおりですが、その算出方法を簡単に説明しますと以下のようになります。

(1)法人税割
法人税割は、所得金額を基礎に課税されます。通常、所得金額に対して課される法人税額(国に納める金額)に一定の税率を乗じて計算されます。また、複数の都道府県、市町村に事務所等がある場合は、法人税割の基礎となる法人税額を各事務所等の従業者の数に応じて按分計算し、各都道府県、市町村に納める税額を計算します。

(2)均等割
均等割は、道府県民税は法人の資本金等の額、市町村民税及び都民税は資本金等の額と事業年度末における従業者数により金額が決まります。年度の中途で事務所等を開設または廃止した場合は、所在していた月数に応じて月割で計算します。

※資本金等の額とは、法人税法に定める金額で大まかには資本金のイメージなのですが、貸借対照表の資本金の額と必ずしも一致するとはいえないため注意が必要です。

法人税割の税率や均等割の金額は、事務所等や寮等が所在する都道府県・市町村ごとに異なる可能性があるため、その都度確認をしなければなりません。
以上より、事務所や営業所などを他の都道府県、市町村に新たに開設する場合には、申告箇所や税額も増加する点に留意が必要です。

記.大阪事務所1課