2023/04/12

賃金のデジタル払いについて-前編

賃金のデジタル払いの概要

給与の支払は労働基準法では原則、賃金は通貨で支払い、労働者同意のもとで口座振込みも可能とされてきました。

近年のキャッシュレス決済化、デジタル化の普及、外国人労働者の増加や、2020年から続く新型コロナウイルスの影響により人や物に直接触るのを避ける人が増えたことなどが、賃金のデジタル払い加速させました。
賃金のデジタル払いとは、決済アプリ等に対して、給与を送金することです。○○ペイのような決済アプリや電子マネーに対して送金し、給与の支払いとする事です。現金化できないポイントや仮想通貨での支払いは認められておらず、上限額も100万円と決められています。

賃金のデジタル払いの解禁日

2023年4月1日から厚生労働大臣に対する資金移動事業者の指定申請が始まり、厚生労働省にて審査が行われます。
一般事業者は許可が下りた資金移動業者の中から選択し、企業内で労使協定を締結し、使
用者に同意書を提出して利用可能になります。
資金移動業者とは、銀行以外で送金サービスを提供する事業者の事を言います。スマートフォンのアプリを使用したキャッシュレス決済を提供している、PayPayやLinePay等が該当します。
デジタル給与を受け取るためには、使用者と労働者の同意が必要となっており、使用者は労働者に対して強制は出来ません。そのため、労働者はこれまで通りの銀行振込で給与を受け取るか、使用者と同意してデジタル給与として受け取るかを選択できるようになります。逆に、使用者は労働者からデジタル払いを求められたとしても義務ではありません。

賃金のデジタル払いの支払方法

まず使用者は、給与計算を行います。給与計算は、これまでの方法と変わりません。
給与が確定すれば使用者の資金移動業者のアカウントから、労働者の資金移動アカウントへ支払います。

注意点として、労働者は給与の全額をデジタル給与で受け取る場合でも、銀行口座の保有は必要です。同意書の作成時に銀行口座の登録は必須であるため、銀行口座を持っていなければデジタル給与の利用は出来ません。

記.大阪事務所3課