2023/04/05

確定申告の更正の請求について 続編

確定申告の訂正申告や修正申告との違い

更正の請求以外に確定申告の内容を修正する手続きとして、訂正申告や修正申告があります。

その違いは下記によります。
・訂正申告は期限内の修正であるもの。
・修正申告は修正の内容が税金の過少申告であるもの。

それぞれの概要をみていきます。

訂正申告

訂正申告は、申告内容の間違いを確定申告の期限内に気づいた場合に行う手続きです。
申告した納税額が多すぎても少なすぎても、期限内に訂正して申告すればすべて訂正申告になります。

訂正申告の手続きは確定申告の期限までに内容を修正した確定申告書や決算書を提出するだけで完了します。

修正申告

修正申告は、確定申告の期限が過ぎた後に本来支払うべき納税額よりも少なく申告した場合に行う手続きです。
自分で気づいて修正した場合は延滞税のみを追加で支払います。
しかし税務調査や税務署からの指摘で発覚した場合は、延滞税に加えて過少申告加算税や重加算税が課せられます。

修正申告を行うには、修正内容を反映した新たな確定申告書を作成します。さらに修正前の金額や増額した税額を記載した修正申告書の作成が必要です。

更正の請求ができない場合とは?

更正の請求は、

1 法律の規定に従っていなかった場合
2 計算の誤りがあった場合

上記に該当する場合に提出することができます。

なお、所得金額の増減や所得控除の追加があったとしても、最終的な所得税額が変わらない場合には、更正の請求はできません。

確定申告書を提出した後からの適用ができないもの

所得税の確定申告告書の提出後に、手続きを失念していた、有利な選択をしていなかった、などに気が付くことがあります。
確定申告期限内であれば何回でも訂正申告として再提出できます。
申告期限が到来した後でも修正申告(税額が増える・還付額が減る)または更正の請求(税額が減る・還付額が増える)ができるものもあります。
しかし、確定申告が終了すると修正申告・更正の請求ができないものもありますので、いくつか例を挙げてみます。

確定申告で上場株式等の配当等を申告しなかった場合(申告不要を選択)

上場株式の配当等については、当初の申告期限に「申告不要」「申告分離課税」「総合課税」のいずれかを選択します。
上場株式等の配当等は源泉徴収されており、申告不要制度を選択すれば所得があっても申告する必要はありません。しかし、一定の条件の方が総合課税で申告すると、源泉徴収された税額が還付されることがあります。
一度配当所得を申告をせずに確定申告を終了した場合には、その後に申告不要をやめて、総合課税として配当控除の適用に変更することはできません。

確定申告をしたのに住宅ローン控除を単に失念していた場合

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用を受けるためには、適用を受けようとする年分の確定申告書に一定の書類を添付して提出しなければなりません。

すでに確定申告が終了している場合は、やむを得ない事情があれば適用が認められますが、判例では単なる失念については認められていません。
ただし、この申告済の年の適用を受けることはできませんが、その後の適用年数内に期限未到来で残っている期間があれば、その期間分は確定申告書に書類を添付して提出することで、適用を受けることができます。

控除対象扶養親族の差替え

確定申告を終了している場合には、控除対象扶養親族の差替えをすることはできません。

確定申告書を提出した後からでも適用ができるもの

譲渡所得を概算取得費で申告した場合(実際の取得費への差し替え)

株式などの取得費を概算取得費によって申告していた後で実際の取得費が判明し、その金額が概算取得費の金額を上回ることが証明された場合、更正の請求が認められます。

給与所得の特定支出控除への選択替え

給与所得者に必要経費を認める特定支出控除制度は、制度導入時は当初の申告時に選択したときに限り適用が認められていました(当初申告要件)。

現在では特定支出控除の当初申告要件は廃止され、確定申告後に特定支出控除の方が有利なことが判明した場合には、更正の請求により特定支出控除を適用することで、所得税の減額を求めることができるようになっています。

記.大阪事務所3課