2023/03/14

消費税の仕入税額控除における適格請求書等保存方式Q&A

口座振替・振込による支払家賃の請求書等は必要?

問85
口座振替により事務所家賃を支払っている場合、賃貸契約書はあるものの請求書や領収書の交付は受けていません。預金口座に振替記録は残っています。このような取引の場合、請求書等の保存要件を満たすにはどうすればよいですか?

A.
仕入税額控除を受けるためには原則として、適格請求書の保存が必要です。

一定期間の取引をまとめて交付することもできますので、貸主から一定期間の賃借料についての適格請求書を受けそれを保存することによる対応も可能です。
また、適格請求書として必要な記載事項は、一の書類だけで全てが記載されている必要はなく、複数の書類で記載事項を満たせば、それらの書類全体で適格請求書の記載事項を満たすこととなります。
契約書に適格請求書として必要な記載事項の一部が記載されており、実際に取引を行った事実を客観的に示す書類とともに保存しておけば、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

つまり、適格請求書の記載事項の一部(課税資産の譲渡等の年月日以外の事項)が記載された賃貸契約書とともに、通帳(課税資産の譲渡等の年月日の事実を示すもの)を併せて保存することにより、仕入税額控除の要件を満たします。

なお、取引の途中で貸主が適格請求書発行事業者でなくなる場合も想定されるため必要に応じて公表サイト等で確認を行うようにしましょう。

短期前払費用の請求書等は必要?

問88
当社は、法人税法基本通達2-2-14の取扱いを受けている前払費用についてその支出した事業年度の損金に計上しています。相手方から交付を受けて請求書等に基づき支払っていますが、この請求書等が適格請求書の記載事項を満たすものであった場合、引き続き支出した日の属する課税期間の課税仕入として仕入税額控除を受けることが出来ますか?

A.
短期前払費用については、適格請求書保存方式においても、現行制度と同様に支出した日の属する課税期間において行ったものと扱いますが、その仕入税額控除を受けるためには、原則として、適格請求書の保存が必要となります。

従って、ご質問のように短期前払費用に係る適格請求書等を保存している場合は、引き続き支出した日の属する課税期間の課税仕入として仕入税額控除の適用を受けることが出来ます。

社員の出張費や通勤費は、社員から請求書もらうの?

問95
社員に支給する国内の出張旅費、宿泊費、日当等(以下「出張旅費等」という)については、社員は適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることが出来ませんが、仕入税額控除を行うことが出来ないのですか?

A.
社員に支給する出張旅費等のうち、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入に係る支払対価の額に該当するものとして扱われます。(消費税基本通達1-2-1)
この金額は、一定の記載事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。

なお、社員に支給する通勤手当についても、同様の扱いとなっています。
(問96参照)

記.大阪事務所2課