2023/03/07

消費税の簡易課税制度について

簡易課税制度とは?

消費税の納税額の計算方法は、「本則課税」と「簡易課税」の2つの計算方法があります。原則は「本則課税」ですが、基準期間(前々年度)の課税売上高が5千万円以下の事業者は事前の届出により「簡易課税」を選択適用できます。

本則課税の計算では、売上時に預かった消費税額から仕入や経費などの支払額に含まれる消費税額を差し引いて納める消費税額を求めますが、簡易課税の計算では、仕入や経費などの支払額に含まれる消費税額の記録や計算を省略し、売上時に預かった消費税額から「仕入控除税額」を差し引いて納める消費税額を求めます。

仕入控除税額は、売上時に預かった消費税額に「みなし仕入率」を乗じて求めます。

みなし仕入率は、業種ごとに6パターン定められています。
第1種事業は卸売業、みなし仕入率は90%
第2種事業は小売業、みなし仕入率は80%
第3種事業は製造業・建設業など、みなし仕入率は70%
第4種事業は飲食業など第1種~6種以外の事業、みなし仕入率は60%
第5種事業は運輸通信・金融・保険・サービス業、みなし仕入率は50%
第6種事業は不動産業、みなし仕入れ率は40%

免税事業者がインボイス発行事業者となった場合の2割納税の特例は、申告時に特例の選択適用ができるので、簡易課税は第1種事業を除き、この特例の適用が有利となります。

簡易課税制度のメリット

・計算が楽な上、支払関係のインボイスの保存が不要のため、事務処理負担が軽減される。

・消費税の対象外となる経費が多い場合、仕入や経費の支払いが少ない場合、実際の仕入率よりみなし仕入率が大きい場合は節税効果がある。

・売上が予測できれば消費税納税額も予測できるので早めの資金繰りができる。

簡易課税制度のデメリット

・複数の業種を営む事業者では、事務処理が増える場合がある。

・実際の仕入率がみなし仕入率より大きい場合は税負担が増える。

・還付が受けられないので、大きな設備投資がある場合などは不利になる場合がある。

・2年間の継続適用が必要。

記.大阪事務所2課