2023/02/21

確定申告書の様式の変更点について

確定申告書の様式の変更点

2022(令和4)年分の所得税の確定申告では、確定申告書の様式の変更・廃止などが行われています。
主な変更点は次の通りです。

1.「確定申告書A」・「確定申告書B」の区分がなくなり、「確定申告書」に一本化
2.修正申告するときに使用していた第5表が廃止され、第1表に「修正申告」欄を追加
3.第1表左上部に「振替継続希望」欄を追加
4.第1表右下部に「公金受取口座の登録・利用」欄を追加
5.第2表下部に「退職所得のある配偶者・親族の氏名等」欄を追加

書くことが増えるのでは・・・との印象を受けそうですが、実は提出書類や手続きの省略化が図られています。

変更点の解説

1.「確定申告書」の一本化

今までは、給与や年金をもらっている方が医療費控除を受けたりするときなどに使う簡易版の「確定申告書A」がありました。一方、事業所得や不動産所得、譲渡所得など全ての所得に使える「確定申告書B」もあり、2つの様式が存在していました。

今回の変更により「確定申告書A」が廃止され、「確定申告書B」が「確定申告書」となりました。前年はAを使ったから、今年もAで作っていたらBじゃないとダメだった、なんてことが無くなりますね。(そもそもAとBの違いを理解するのが面倒だったという・・・)

2.第5表「修正申告書(別表)」の廃止

修正申告とは、申告期限後に、申告した納税額や課税所得などが実際より少なかったとき、又は申告した還付税額や繰越損失額などが過大であったときにする手続きです。

その修正申告の際に第5表を使うのですが、一度申告しているにもかかわらず、修正前の所得金額や所得控除額、納税額など当初申告と同じ内容を記載する必要がありました。

今回の変更により第5表が廃止され、第1表に「修正申告」欄が追加されました。記載項目は少なくなりましたが、修正事項や理由は第2表の「特例適用条文等」欄に記載するようになったので、記載忘れのないよう注意が必要です。

3.「振替継続希望」欄を追加

今までは、所得税の確定申告をしていた方が引越しなどにより納税地の所轄税務署が変わった際は、「所得税の納税地の異動に関する届出書」を異動前の納税地の所轄税務署に提出する必要がありましたが、2023(令和5)年1月1日からは提出不要になりました。

振替納税を利用していた方が異動後の納税地でも振替納税を利用するには、その届出書に「振替納税を引き続き希望する」旨を記載すればOKでしたが、その届出書の提出が不要になったため確定申告書に追加された、という形です。

なお、「振替継続希望」欄に○を記入しなかった場合は「振替依頼書」を異動後の納税地の所轄税務署に提出する必要があります。

4.「公金受取口座の登録・利用」欄を追加

公金受取口座とは、国からの給付金などの受け取るために登録(任意)した個人の預貯金口座のことです。

以前はマイナポータルから登録する方法のみでしたが、2021(令和3)年分の確定申告から登録できるようになりました。ただ、このときはマイナンバーカード方式の還付申告に限定されていました。

2022(令和4)年分の確定申告書ではマイナンバーカード方式に限らず登録できるようになり、登録済みの方については還付金の受取口座として利用もできるようになりました。
※ 登録と利用を同時に行うことはできないのでご注意ください。

第1表の「還付される税金の受取場所」に記載した預貯金口座を公金受取口座として登録する場合は「公金受取口座登録の同意」に○を記入します。

また、登録済みの公金受取口座へ還付金の振込を希望する場合は「公金受取口座の利用」に○を記入します。
この場合、「還付される税金の受取場所」の記載は不要です。

5.「退職所得のある配偶者・親族の氏名等」欄を追加

住民税では、扶養親族等の要件とされる所得の金額に、退職所得の金額は含めないこととされています。
これにより所得税では扶養控除等が受けられないが住民税では受けられるケースがあり、今までは住民税の申告書を別途提出する必要がありました。

今回の変更により、上記のケースの場合に退職所得のある配偶者や扶養親族の情報を確定申告書に記載すれば、住民税の申告書を提出は不要になりました。

いかがでしたでしょうか。
今までと変わった点があると何かと戸惑ってしまいますよね。
様式以外の変更点もあるので注意は必要ですが、確定申告書作成&適正申告の一助になれば幸いです。

記.大阪事務所1課