2023/01/17

2024年以降のNISAの拡充

NISAの概要

資産所得倍増と言われても、株式などの金融商品投資を行っていない方にはどういった税金がかかるか馴染みがないと思います。 
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)がかかります。

100万円で購入した株式が200万円で売却できたとした場合、
 
200万円 - 100万円 = 100万円
100万円×20.315%=20万3,150円 税金がかかります。
 

NISA(Nippon Individual Savings Account)は、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。
銀行預金の利息にも、気付きずらいですが、株式譲渡や配当と同じ税率で約20%の税金が自動的に差引されています。
銀行にお金を預けていても受け取れる利息には税金が課されるため、配当や株式譲渡益に課税されるはずの税金が非課税になる、NISAは優遇された制度といえます。
ただし、金融商品は確実に値上がりするものではないため、注意が必要となります。

2023年までのNISA

NISAは「一般NISA」と「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」の3種類の制度があります。
※ジュニアNISAは0歳~17歳が利用できる制度です。こちらの改正については、別枠で紹介させていただきます。

今回の改正が適用される前(2023年まで)は、一般NISAとつみたてNISAの年ごとの選択制です。

一般NISA(2014年に創設)

日本にお住いの18歳以上が利用可能。(2022年までは20歳以上)
非課税対象:株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益
非課税になる投資枠:新規投資額で毎年120万円が上限(非課税投資枠は最大600万円)
非課税期間:最長5年間

年間120万円まで投資でき、金融商品を取得後、5年以内に得られた譲渡益、配当は非課税となります。

つみたてNISA

日本にお住いの18歳以上が利用可能。(2022年までは20歳以上)
非課税対象:一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益
非課税になる投資枠:新規投資額で毎年40万円が上限(非課税投資枠は20年間で最大800万円)
非課税期間:最長20年間

国が指定した投資信託に年間40万円まで投資でき、20年以内に得られた譲渡益、分配金は非課税となります。
比較的、安定した商品が指定されているようですので、定期預金のように長期保有目的の方の利用が多いと思われます。

※細かい規定については金融庁のサイトも参照ください。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html

2024年以降のNISA

改正後は現行のNISAの制度の抜本的拡充・恒久化がされます。
「一般NISA」と「つみたてNISA」の選択制ではなく「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類が設置され、併用が可能となります。

つみたて投資枠

年間投資枠:120万円
非課税保有期間:無期限化
非課税保有限度額:1,800万円(成長投資枠と合計)
口座開設期間:恒久化
投資対象資産:積立・分散投資に適した一定の投資信託(改正前のつみたてNISAの対象商品と同様)

成長投資枠

年間投資枠:240万円
非課税保有期間:無期限化
非課税保有限度額:1,200万円 ただし、つみたて投資枠と合計1,800万円
口座開設期間:恒久化
投資対象資産:上場株式・投資信託等(高レバレッジ型の投資信託などリスクが高いものは除かれるようです)
   
非課税保有限度額は取得対価の額の合計額で判定されるため、口座内で売却をするとその分の枠が空くことになり再投資が可能となります。年間の投資枠にも限度額があるため、年間の投資枠を超えて再投資することはできないことになるようです。

投資期間が無期限となり、非課税になる金額が生涯を通じて大きくなりますので、低金利の現状を考えるとNISA口座の開設を検討してもよいのではと思われます。

記.東京業務2課