2023/01/10

コロナ ウイルス感染の保険金と税務

保険金について

基本的に個人の方がなんらかの収入を得た場合には確定申告を行う必要があります。

保険金についても基本的には収入と考えてその保険金の種類により申告(満期保険金を一時金で受領した場合には一時所得、年金で受領した場合には雑所得など)をする必要がありますが、一部の保険金については課税対象になじまないものや社会政策的配慮から課税されないもの(非課税所得)があります。

今回お話するコロナ感染による保険金・給付金は『所得税法第9条第1項第18号及び所得税法施行令第30条第1項』の『心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するもの』に該当するため、収入としては所得税が課税されないことになります。

保険金と医療費控除

それでは受け取ったコロナ感染による保険金は税金の計算に影響しないのか、というと少し違います。
入院後に保険金の入金があり確定申告で医療費控除を受けたことがある方はご存じかと思いますが、支払った医療費を補填する保険金等の金額がある場合には、支払った医療費の金額からその医療費を補填する保険金等の金額を差し引くこととされています。(所得税法第73条第1項)

コロナ感染による保険金もこちらに該当するため保険金の対象となった入院費用がある場合には医療費控除の計算上受け取った保険金を差引くこととなり、もし支払った医療費よりも受け取った保険金が多い場合にはその金額は他の医療費の金額からは差引く必要はありません。

・例
①コロナ入院費用: 4万円
②コロナ保険金 :10万円
③歯科治療費  :15万円

上記の場合①-②が-6万円となりますが、③の15万円からは差引く必要は無く、医療費控除の対象となる金額は15万円となります。

みなし入院とは

2022年8月に猛威を振るった第7派では感染者が爆発的に増加したため入院出来ずに宿泊療養か自宅療養となる方が多くいらっしゃいました。

在宅ワークが可能であれば良いですが、出来ない業種だったり体調が悪くなると業務が行えず、結果収入が減少してしまいます。

正規の入院でもないため保険が下りないという問題も発生していたため、各保険会社からの提案で一定要件を満たせば保険金の給付要件を満たしたものとみなす『みなし入院』というものが出てきました。

保険会社により取扱いが違う場合もありますが、①PCR検査等で陽性と診断された日や②厚生労働省の定める解除日に該当した日等を基準として宿泊、自宅療養をしている場合でも保険金を請求出来ることとなりました。(2022年9月26日から新型コロナ感染者の全数把握が簡略化されたため同日から給付対象者が変更となっている保険会社が多い印象です)
 
ただ、宿泊や自宅療養だと医療費が発生しないため、受け取った保険金はそのまま非課税所得として税金は掛からないこととなります。(保険請求のために使用した検査キット等の購入費用等は(2)の取扱と同じです)

記.東京業務1課