2022/12/20

確定申告で一時所得の注意点

今年は臨時収入があった!税金はいくらかかるの?

ふと今年を振り返ると、普段無い臨時収入があった方もいらっしゃったのではないでしょうか。

所得税上、そのような臨時収入は、一時所得に該当することが多いです。

一時所得とは、以下のように定義されています。
「一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。」(所得税法34条)

つまり、一時所得とは、継続性が無く、一時的な収入です。お金だけではなく、物品等のモノや、ポイントのような経済的利益も含むことに、ご注意ください。

いくら税金がかかるかは、まず一時所得の金額を計算し、その後他の所得と合計し税額の計算をします。

まず、一時所得の金額は次のように計算します。

一時所得=
総収入金額-収入を得るために支出した額-特別控除額(最高50万)

一時所得の計算が終わったら、一時所得×1/2の金額を他の所得と合計し、税額を計算します。

つまり、上記の式に当てはめると、仮に収入を得るための支出が無い場合であっても、一時所得になる収入が年間50万円以下であれば確定申告は必要ありません。

また、サラリーマンなどの給与所得者は、その給与以外の所得金額が年間20万円以下の場合は、確定申告は必要がありません。ですので、収入を得るための支出が無い場合は、一時所得になる収入が90万円以下の場合は、確定申告は必要ありません。

収入を得るために支出した金額は、その収入を生じた行為をするため、または、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。
例えば、生命保険の満期返戻金や解約返戻金の場合は、支払い済の保険料がこれに該当します。

一時所得になるもの

一般的には、一時所得は、次のようなものがあります。

・懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
・競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)
・生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等(解約返戻金も含みます)
・法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除きます。)
・遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
・資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの

また、上記以外にも、一時所得になるものもあります。
・ふるさと納税の返戻品
・マイナポイント
・すまいの給付金

ふるさと納税の返戻品は、各地方公共団体(=法人)から贈与された金品にあたると考え、一時所得になります。

上記の式に当てはめると、返礼品の原価合計が50万円を超えた場合、申告が必要になります。
一般的に、返戻品の原価はふるさと納税額の3割以内ですので、166万円超のふるさと納税を行った場合、申告が必要になる目安です。

マイナンバーカード作成やマイナンバーカードを健康保険証として利用申込みした際に付与されるマイナポイントは、一時所得になります。商品購入時に付与されるようなポイントとは異なり、「通常の商取引における値引き」とは認められないためです。

すまいの給付金も、一時所得になります。各市町村のリフォーム補助金も同様です。
ただし、こちらは、確定申告書に一定事項を記載することで、一時所得の総収入金額に含めないことができます。

塵も積もれば山となる

ここまでご覧になり、「なんだ、うちは関係ないな」と思った方が多いかと思いますが、「あれ?案外当てはまってる?」と思った方は、各所得や収入がいくらぐらいか?確認しておいた方が良いかもしれません。

ポイントは、収入単体で申告が必要かどうかを考えるのではなく、一時所得全体で考える点です。つまり、前年までは大丈夫でも、今年は申告が必要になる場合が出てきてしまいます。

例えば、保険の解約返戻金が50万円ある場合は、ふるさと納税の返戻品、マイナポイント、すまいの給付金があれば、確定申告対象になってきてしまいます。

他の注意点は以下の2点です。

①一時所得は、他の赤字の所得と相殺ができません。
②夫婦で一方に一時所得が生じた場合、配偶者控除の金額が変わることがあります。

臨時収入は普段ないものですし、つい忘れがちです。一時所得は、収入を得るために支出した額が無いことが多いので、忘れている場合、収入がそのまま申告漏れとなりえますので、気を付けたいところです。

記.東京業務1課