2022/10/26

産業競争力強化法の中小企業への創業等の支援

産業競争力強化法に基づく中小企業への創業等の支援とは

まず、産業競争力強化法の目的については、長年にわたる産業の低迷を脱却させるべく、産業競争力の強化に関し、基本理念、国及び事業者の責務を定め、必要な措置を講じ、国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することのようです。

必要な措置には、
・規制の特例措置の整備等及びこれを通じた規制改革の推進
・産業活動における新陳代謝の活性化を促進するための措置
・株式会社産業革新投資機構に特定事業活動の支援等に関する業務を行わせるための措置及び中小企業の活力の再生を円滑化するための措置
というようなことが挙げられていますが、何となく漠然としている気はしますね。

創業等の支援については、同法の第126条以降に記載されており、まずは経済産業大臣及び総務大臣が定める「創業支援等事業の実施に関する指針」に従い、各市区町村が「創業支援等事業計画」を策定して国の認定を受けている必要があります。
現時点で多くの市区町村は認定を受けていますが、中には認定を受けていない市区町村もあります。
当然、認定を受けていない市区町村では当該支援は受けられないこととなり、そういった面では不公平感のあるものとなっている気がします。
悪い言い方をすれば、「国が市区町村に丸投げした」とも言えるかもしれません。

創業等の優遇支援

創業支援等事業計画について、国の認定を受けた市区町村にて創業等をする方は、その市区町村から発行される「特定創業支援等事業により支援を受けたことの証明書」を入手することにより、以下のような優遇支援を受けることができます。

・法人設立時や増資時の登記にかかる「登録免許税」が半額となる。
・無担保、第三者保証人なしの「創業関連保証」が、事業開始の6カ月前から利用可能。(別途審査必要)
・日本政策金融公庫の「新創業融資制度」について、自己資金要件(創業資金総額の1/10以上)を充足したものとして利用可能(別途審査必要)
・日本政策金融公庫の「新規開業資金」の貸付利率の引き下げ(別途審査必要)

なお、登録免許税が半額になる優遇支援については、現時点では令和6年3月31日までの認定が必要で、認定日から1年以内に登記を受けるものに限ります。
また、登記申請時に法務局へ原本の提出が必要となります(法務局によっては原本還付申請が出来るところもあるようです)。

特定創業支援等事業により支援を受けたことの証明書を入手するには

「特定創業支援等事業により支援を受けたことの証明書」を入手するには、発行する市区町村が地域の支援機関等と連携して実施する「特定創業支援等事業」による支援を受ける必要があります。
その内容は、創業に役立つ経営等の知識が習得できる個別相談支援、創造塾や創業セミナー等の規定回数を受講するということが一般的なようですが、内容、回数、受講期間、受講資格などの各要件等については、各市区町村により異なりますので、詳細は該当市区町村のホームページ等にてご確認いただくのが良いでしょう。

各要件等を満たした後、該当市区町村に「特定創業支援等事業により支援を受けたことの証明に関する申請書」及びその他申請に必要な書類を提出すると、「特定創業支援等事業により支援を受けたことの証明書」が発行されます。

市区町村によっては、人気でセミナー等がなかなか受けられないというケースも見受けられるようですので、優遇支援を受けたい方はスケジュール等について計画的に行うのが良いでしょう。

記.名古屋業務1課