2022/10/11

相続した空き家を売却した時の所得税の特例

被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等とは

1.特例対象となる被相続人居住用家屋とは、
相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋(複数の建築物(母屋、離れ、倉庫など)から成る場合は、主として被相続人の居住の用に供されていた一の建物に限る。)で、以下の要件のすべてに該当するものです。
・昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
・区分所有建物登記がされている建物でないこと。
・区分所有建物である旨の登記がされている二世帯住宅やマンションでないこと。
・相続開始直前において被相続人以外に居住をしていた人がいないこと。
なお、老人ホーム等に入所するなど、一定の要件に該当する場合は被相続人居住用家屋に該当します。

2.特例対象となる被相続人居住用家屋の敷地等とは、
相続の開始の直前において被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地又は土地の上に存する権利をいいます。
なお、相続開始の直前においてその土地が複数の建築物のある土地である場合には、その土地のうち、その土地の面積に複数の建築物の床面積の合計額に主たる被相続人居住用家屋の床面積の占める割合を乗じて計算した面積に係る土地の部分に限ります。

特例を受けるための要件

1.相続(遺贈を含む。以下同じ)により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。家屋のみ又は家屋の敷地等のみを相続により取得した場合は、特例を受けられません。

2.次のA又はBの売却をしたこと
A)被相続人居住用家屋の売却か、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等の売却であること。
(イ)家屋は相続時から売却の時までに事業の用、貸付の用、または居住の用に供されたことがないこと。
(ロ)家屋は売却の時において一定の耐震基準を満たすこと。
耐震性のないものは耐震リフォームをしたものに限ります。

B)被相続人居住用家屋の全部を取壊し等した後に被相続人居住用家屋の敷地等を売却すること。
(イ)家屋は相続時から取壊しの時までに事業の用、貸付の用、または居住の用に供されたことがないこと。
(ロ)敷地等は相続時から売却の時までに事業の用、貸付の用、または居住の用に供されたことがないこと。
(ハ)敷地等は取壊し等の時から売却の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。
3.相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。

4.売却代金が1億円以下であること。
売却代金が1億円以下かどうかは、相続の時からこの特例の適用を受けて被相続人居住用家屋またはその敷地等を売却した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に分割して売却した部分や他の相続人が売却した部分も含めた売却代金の合計により判定します。

5.売却した土地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費加算、収容等の特別 控除など他の特例を受けていないこと。

6.同一の被相続人から相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。

7.親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売却したものでないこと。

特例の適用を受けるための添付書類

1.譲渡所得の内訳書

2.被相続人居住用家屋及びその敷地等の登記事項証明書その他の書類相続により取得したこと、家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたこと及び区分所有建物登記がされている建物でないことがわかる書類

3.被相続人居住用家屋又はその敷地等の売買契約書の写しその他の書類売却代金が1億円以下であることを明らかにする書類

4.被相続人居住用家屋等確認書。被相続人居住用家屋の所在市町村に申請し、交付を受けた書類

5.被相続人居住用家屋の耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し敷地のみの売却は不要

記.名古屋業務1課