2022/08/09

令和4年税制改正における節税スキーム他

『ドローン節税』とは!?

令和4年の税制改正により、いわゆる『ドローン節税』が封じ込められました。

『ドローン節税』とは、減価償却費の特例を使った節税スキームです。中小企業者等(個人事業者の場合は青色申告者)の場合、1機あたりの取得価額が30万円未満の資産は、年間300万円まではその全額を損金算入
できます。
取得価額10万円未満だと年間金額の制約がなく、全てを損金にすることができます。
それを活用して、多数のドローン購入費用を損金にして、それをリースとして貸し出すことより、リース料収入を得ます。そしてリース期間が終了後はレンタル会社へ売却する、いう手法です。
従って厳密にいえば、節税というより、課税の繰り延べに当たります。

これは、ドローンに限らず、LEDや建設現場等で利用される足場などもこのスキームで利用されていました。

今改正では、取得価額に関係なく、その資産が貸付用であるならば、耐用年数に応じた期間により減価償却することとされました。
この改正は令和4年4月1日以後取得の資産から適用されています。

令和5年から納税地異動届(個人)の簡素化

今改正は令和5年1月1日以降の異動からの適用で、手続きが簡素化となる良い改正です。

個人事業者が引っ越し等により住所に変更があった場合、平成29年までは異動前の管轄税務署と、異動後の管轄税務署にそれぞれ提出する必要がありましたが、平成29年以降は、異動前の税務署のみでよくなっていました。

そして、今改正では、異動届そのものの提出が不要になります。住民票の異動情報で確認できるため、だそうです。

また、事業所等を納税地として確定申告されている場合についても、その変更は、確定申告書によって確認できるため、変更届の提出は不要となりました。

それとは別に、個人の異動届を提出する場合にセットで検討すべき要注意事項がありますね?そう、「振替納税依頼書」です。令和3年以降は、異動届出書に「振替納税を引き続き希望する」にチェックを入れて提出すれば異動後にも引き継げるようになっています。

しかし、異動届の提出が不要となった場合には、この意思表示が出来なくなります。この件については、今改正では振替納税依頼についてまで言及がなされていないため、手続きの要否は現状ではまだ不透明です。

この件は引き続き、情報収集を続けていきます。

帳簿の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置

税務調査等があった場合、税務職員から帳簿の提示を求められることがあります。それに応じなかったり、又は帳簿の記載が著しく不十分であった場合には、通常の加算税に加えて、加算税の10%が上乗せされることとなります。

記載が著しく不十分とは、売上金額等の記載が1/2以上ない場合を指しており、1/3以上の記載がない場合には、少し軽減され、上乗せ率が5%とされています。

記帳水準の向上、記帳義務の適正な履行を担保する目的の改正です。令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。

記.大阪業務2課