2022/06/08

インボイス制度についてPart1

そもそも消費税の納付額の計算はどうなっているの?

インボイス制度を理解する前に、消費税の計算方法を再確認しておきましょう。

消費税額=「課税売上に係る消費税額」-「課税仕入れ等に係る消費税額」

上記のとおり基本は、売上で預かった消費税と、仕入や経費に支払った消費税の差額が税務書に納付する消費税額です。
「課税仕入れ等に係る消費税額」⇒「仕入税額控除」には要件があります。
この「仕入税額控除」の要件こそが、インボイス制度そのものと言っていいものです。
「仕入税額控除」の要件を満たさないと、仕入や経費等に消費税を支払っていても、税務署に納付する時の消費税の計算では、その支払った消費税を差引くことができません。インボイス制度が導入されると、従来の請求書や領収書では、「仕入税額控除」の要件を満たす事が出来ません。
※基準期間の課税売上が5千万以下の事業者は簡易課税制度を選択できます。簡易課税は売上金額だけで消費税の計算ができますので、「課税仕入れ等に係る消費税額」は関係ありません。

インボイス制度で何が変わるの?

インボイス制度は令和5年10月1日から開始されます。
インボイス制度=適格請求書等保存方式が開始されると、

〇 適格請求書は、登録を受けた事業者のみが交付できます
〇 適格請求書には、一定の事項を記載する必要があります。
〇 「仕入税額控除」を受けるためには適格請求書等の保存が必要になります。

適格請求書等を発行することが出来ない事業者からの仕入や、経費の支払に係る消費税額は税務署に納付する消費税を計算する時に差引くことが出来なくなります!!!
「仕入税額控除」を受けるための請求書に必要な記載事項が追加されます。

〇インボイス制度の適格請求書・・・下線の項目が追加される記載事項です
① 適格請求書発行事業者の名称及び「登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容
④ 税率ごとに区分して合計した金額及び「適用税率
⑤ 「税率ごとに区分した消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

また、スーパーのレシート等の通常請求書がない取引につては「適格簡易請求書」が必要になります。請求書となっていますが、現行のレシート(領収書)に、登録番号と税率を区分した消費税額等が記載されます。
登録番号は次に述べる登録申請をした事業者のみが記載できます。この登録申請することがインボイス制度への第一歩になります。

どうすれば適格請求書を発行できるの?

適格請求書発行事業者になるには、適格請求書発行事業者の登録申請手続が必要です。登録は令和3年10月1日から始まっています。私の担当のお客様も数件が登録されています。制度の始まる令和5年10月1日から登録を受けるためには、原則として令和5年3月31日までに登録申請手続をする必要があります。
基本は消費税課税事業者が登録申請できます。
消費税免税事業者も登録申請できます。ただし登録申請すると消費税免税事業者ではなくなってしまいます。登録申請した後は、消費税の申告と納付が必要になります。今まで免税事業者であった個人事業主や会社が、インボイス制度の影響を最も受けると思われます。消費税の申告方法次第で、インボイス制度導入後の影響も変わってきます。インボイス制度導入後の具体的な影響や対応については次回以降に述べさせいただきます。

記.大阪業務1課