2022/04/05

インボイス制度

インボイス制度とは?

そもそも、インボイス制度とはどういったものか、簡単にご説明いたします。
インボイス制度は、令和5年10月1日から始まる消費税の制度で、正式名称を「適格請求書等保存方式」と言います。
インボイスは、取引相手に対して、取引に適用された税率や、取引で生じた消費税額等を伝えるための書類で、正式名称を「適格請求書」と呼びます。法令等で記載事項が決められていますが、様式は自由です。
インボイスを発行できるのは、税務署長に申請書を提出し、登録を受けた者に限られます。登録を受けた者のことを、「適格請求書発行事業者」と呼びます。消費税の申告義務のある課税事業者のみ、登録できます。
では、インボイスは実際にどう使われるのでしょうか?インボイスは、取引の買手側、売手側の両方に関係します。
買手側では、原則、インボイスの保存が消費税の仕入税額控除の要件です。つまり、保管を怠ると、消費税の負担が増えてしまうおそれがあります。
売手側では、原則、買手側の要求に応じてインボイスを交付する義務と、交付したインボイスの写しの保管義務があります。
インボイスの交付が正しく行われなければ、取引先が余分な消費税を負担する可能性があり、ひいては自社の信用に影響を及ぼすかもしれません。

売手側の注意点、買手側の注意点

制度開始はまだ先ですが、運用面の準備は必要です。インボイスは、取引の売手側と、買手側の両方に関係する為、両方の立場から対策を立てておきましょう。
以下に、それぞれのおおまかなポイントを記載します。

買手側の準備

ポイントは、仕入税額控除の要件を満たすことです。具体的には、以下になります。

①インボイスが必要か、取引を分別
インボイスが必要な取引、不要な取引、及びインボイスが発行できない事業者との取引の3つに分別しておくと、消費税の計算時に困らなくて済みそうです。インボイスが不要な場合とは、少額のバスや電車の利用等です。

②取引先がインボイスを発行できるかの把握
適格請求書発行事業者公表サイトで確認したり、取引先へインボイスの発行を依頼します。

③経過措置の適用を受けるための準備
インボイスを発行できない事業者との取引は、原則、仕入税額控除できませんが、経過措置により令和11年9月30日までは、一部を仕入税額控除できます。この場合、消費税の申告時に、インボイスを受領した取引とは分けて、仕入税額控除の計算をしなければなりません。

売手側の準備

ポイントは、販売先(買手側)が余分な消費税の負担をしないようにすることです。具体的には、以下になります。

①請求書等の書式変更の検討
記載事項を満たすよう請求書等の書式変更の検討が必要です。買手側は、売手側が交付したインボイスを基に消費税の仕入税額控除を計算します。その為、誤りがあると取引先の税負担が増えるおそれがあります。
また、返品や値引きがある場合、別途インボイスの発行義務がありますので、その対応も必要です。

②再交付要請への対応
インボイスに不備があっても、原則、買手側では変更できません。変更が必要な場合、買手側から売手側に再交付の要求が必要です。そのため、売手側もスムーズな対応ができた方が良さそうです。

買手側・売手側に共通する注意点

最後に、買手側、売手側に共通のポイントを記載します。

①インボイスのチェック
請求書等が、インボイス制度の要件を満たしているかのチェックは、消費税の計算への影響が大きいため、重要です。請求書等の発行やチェックに役割分担がある場合は、各担当者に重要性を理解してもらいましょう。

②保管体制
インボイスの保管義務期間は7年間です。紙面でなく、データ保管でも大丈夫ですが、その場合は電子帳簿保存法が関係してきますので、ご注意ください。

万が一の税務調査では、インボイスが保存されていないことを理由とした形式的な判断が可能になると言われておりますので、管理方法を決めておくと良いでしょう。

記.東京業務2課