2022/02/21

法人の決算月って何月が良いの?

会計年度とは

少々、うんちくを垂れさせていただきます。
会計年度が初めて制度化されたのは明治2年のことです。このときは10月始まりだったそうです。お米の収穫後に合わせたそうです。
その後、明治6年に1月始まりに変更されました。太陽暦を導入したことに伴います。
さらに、明治8年から7月始まりに、これは地租改正法の制定により改正されました。
そして、明治19年から会計年度は4月始まりになり現在に至ります。この改正も激動の明治時代に軍事費が予算をオーバーしてその調整のために会計年度を短くしたりと政治都合で改正されたようです。
諸外国の例をみてみますとG7国の会計年度は

アメリカ 9月、 イギリス 3月、 フランス 12月、 イタリア 12月
ドイツ 12月、 カナダ 3月 となっているようです。 

ただアメリカの企業は会計年度とは異なり12月決算としている法人が多いようです。
日本は、上場企業の70%近くの法人が3月決算としています。これは一部では総会屋対策と言われていますがどうでしょうか?
実際には国の会計年度に合わせて、国の予算の傾向に合わせた経営を行う。また、税制改正のタイミングに合わせた企業戦略を考えるなどの理由もあります。

法人の決算月の決め方

消費税の納税義務の免除の恩恵を最大限受ける

設立時の資本金が1000万円未満の法人は1期目・2期目は消費税の納税義務が免除されます。1年目ではなく1期目です。
法人の定款には事業年度の定めがあります。
そして、ほとんどの法人は事業年度を1年間としています。第1期目は設立日から決算月までの期間とされているので設立日が月初でない限り1期目は1年間より短くなってしまいます。
具体的には本日2月23日設立の法人であれば、事業年度を2/1~翌年1/31として第1期目を自令和4年2月23日至令和5年1月31日とするのがベストでしょう。期末を令和5年2月22日とすることも可能ですがあまり馴染めません。
従って、消費税からすれば設立日から最長となる月末を決算月とすると良いと言えます。
ただし、資本金が1000万円未満であっても1期目上半期の売上高や人件費によっては2期目から納税義務が発生するなど他にも納税義務の免除とならないケースもあるのでご注意ください。

法人の作業負担を考え繁忙期を避ける

決算月には商品の棚卸などの作業を行う事になります。法人の繁忙期を決算月としてしまうと忙しいさなかに決算の作業を行う事になり法人の作業効率に影響が出ることも考えられます。
そのため繁忙期を避けて落ち着いた月に決算を迎えるという考え方も決定の決め手になると思います。

法人の営業成績と資金繰りから考える

法人の臨時的な支出の代表例として従業員の賞与の支払いがあります。会社経営者は法人の業績に伴い従業員の賞与の額を考慮したいと考えていると思います。賞与の支払の月は資金繰りも困窮する可能性があります。
因みに納税は決算日の2ケ月後になりますので8月に賞与支払う法人ですと6月決算は8月末の納税となり資金繰りは困窮を極めることも。
法人の経営成績と資金繰りから考えると7月までの試算表の数値を参考に8月の賞与を支払って8月末の賞与支払い後の営業成績で決算を迎えて納税を10月に行うという賞与月を決算月とする選択も宜しいのではないでしょうか。

その他

法人の決算月で一番多いのは3月決算ですが、その次に多いのは12月と9月だと思います。
会計事務所の立場では均等に各月にバラけているのが理想ですがこちらの都合でものは申せません。
ただ、会計事務所の繁忙期に重なる決算月はタイトなスケジュール管理の中での打合せとなりお互いの時間を合わせるのに多少の困難が生じてご迷惑をおかけすることはご理解いただけると思います。
なお決算の内容やサービスの提供については、何月決算であっても一切の変わりはありません。その点はご安心下さい。

法人の決算月の変更

消費税の都合上で決算月を決定したが将来決算月を変更できないのか?という疑問もあると思います。
事業年度は定款に定めがありますが。株主総会の特別決議による定款変更という手続きを行えば「事業年度の変更」が可能です。
事業年度は登記事項ではありませんので、法務局への届出等の手続きは不要です。
所轄税務署・都道府県税事務所・市区町村の役所へ変更を決議した「株主総会議事録」の写しを添付して「異動届出書」の提出を行うことになります。

以上のことから今現在の御社の決算月も見直すと今後の会社経営により有利な運営が出来る可能性も出てくるかもしれませんね。

記.名古屋業務1課