2022/02/15

2022年における社会保険の適用拡大について

社会保険適用の要件拡大について

2016年10月より従業員501人以上の企業に対してパートタイマーの加入用件が広がりましたが2022年10月から、従業員数が101人以上の企業に対して同様の要件が適用されることとなりました。
更に従前の要件から異なる点として「1年を超える雇用期間が見込まれること」から「2カ月を超える雇用期間が見込まれること」となりました。

こちらの変更点をさらに掘り下げてご説明させて頂きます。まず「従業員数」についてですが、正社員やパートタイマー短期雇用の従業員など全ての合計人数ではなく「被保険者」つまり正社員や週の労働時間が正社員の3/4以上のパート・アルバイトの人数が101人以上の企業です。
また「1週間の所定労働時間が20時間」についてですが所定労働時間とは企業が定めた従業員が働く時間の事を言います。主に、始業時間と終業時間の定めがあり、休憩を除いた労働時間部分が所定労働時間となります。24時間営業している企業や、従業員によって労働時間がバラつく場合は変形労働制に該当します。変形労働制とは、労働時間を1日単位ではなく、月や年単位で計算する制度になりますがこちらの詳細に関してはまたの機会とさせていただきます。
始業から終業までの時間を、休憩を除き6時間とした場合4日以上の勤務で1週間の所定労働時間が20時間を超えることになります。しかし「所定労働時間」とはあくまでも事前に取り決めのある始業から終業までの時間になるので先ほどの例で仮に1日2時間の残業があった場合、その残業部分は所定労働時間には含まれません。8時間×3日=24時間ですが、所定労働時間は18時間、残業時間が6時間という事になります。

2024年10月からの改正について

2024年10月より更に適用要件が広がり従業員数が101人以上までの企業に対してだったものが従業員数が51人以上までの企業になります。
人数以外の要件拡大はありませんが、51人以上となるととても身近な話になってきますね。
社会保険の適用については会社の負担分だけでなく被保険者にとっても負担になることがあるため加入要件につては確認が必要になると思います。

社会保険加入のメリット・デメリット

「手取り額を減らしたくない」という人にとってはパートで社会保険に加入することにデメリットを感じるかもしれません。しかし、老後にもらえる年金の額が増えたり
休職・退職時に手厚い保障を受けられたりするなど社会保険に加入して得られるメリットも少なくありません。人によっては収入を調整するのではなく社会保険に加入して働く時間を増やしたほうが結果として得をするケースもあるでしょう。
企業側としては、やはり負担額が大きくなることが一番のデメリットとなります。今までは「社会保険完備」と書くことで人材が集まりやすいというメリットもありましたがパートタイマ―の方からすると、社会保険への加入は必ずしもメリットにはならないので社会保険完備と記載することによって応募を見送るという方もいるかもしれません。

2022年2月3日現在では上記の適用拡大が確定していますが今後更に適用要件の拡大が行われる可能性は高いと思われます。
今後は社会保険への加入を避けるより上手に付き合う方法を検討する必要がありそうです。
社会保険の加入要件や改正に関しては厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイトをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/

記.名古屋業務1課