2022/01/18

令和4年税制改正の概要

令和4年度税制改正大綱

令和4年度の税制改正大綱が公表されました。
各項目はざっくりと下記の通りとなります。

【個人所得課税】
○ 住宅ローン控除制度の見直し

【資産課税】
○ 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の見直し
○ 登録免許税におけるキャッシュレス納付制度の創設
○ 土地に係る固定資産税等の負担調整措置

【法人課税】
○ 積極的な賃上げ等を促すための措置
○ オープンイノベーション促進税制の拡充
○ 5G導入促進税制の見直し
○ 大法人に対する法人事業税所得割の軽減税率の見直し
○ ガス供給業に係る法人事業税の課税方式の見直し

【消費課税】
○ 自動車重量税におけるキャッシュレス納付制度の創設
○ 航空機燃料税の税率の見直し
○ 沖縄県産酒類に係る酒税の軽減措置の段階的廃止等

納税環境整備
○ 税理士制度の見直し
○ 記帳義務を適正に履行しない納税者等への対応
○ 財産債務調書制度の見直し
○ 地方税務手続のデジタル化

【関税】
○ 暫定税率等の適用期限の延長等
○ 海外の事業者を仕出人とする模倣品の水際取締りの強化

中小企業に関わる税制改正

中小企業にかかわる税制改正の一部を紹介します。

〇賃上げ税制の拡充
これまで中小企業向けの賃上げ税制は、1.5%以上の賃上げで給与増加分の15%を税額控除しています。
令和4年度税制改正大綱では、この賃上げ税制を改正し、継続雇用者の賃上げ分ではなく、人員を増やした分も考慮されることになりました。
 
全従業員の給与支給額を前年度より1.5%以上増やせば、雇用者給与増加額の15%を税額控除、2.5%以上なら15%が加算され30%の税額控除がされます。
これに加えて、従業員向けの教育訓練費を前年度より10%以上増やせば、税額控除率が最大で40%になります。(当期の法人税額の20%が限度)

賃上内容/前年度比の増加率/法人税の控除率
全給与支給額/1.5%以上/15%
全給与支給額/2.5%以上/+15%
教育訓練費/10%以上/+10%

〇交際費特例は2年延長
中小企業の交際費や接待費のうち、800万円までを経費として損金算入できる交際費の特例は令和3年度末が期限でした。
この期限が2年延長されることになりました。

〇法人版事業承継税制の特例承継計画に係る提出期限の延長(1年)
法人版事業承継税制(特例措置)適用の前提となる特例承継計画の提出期限が令和6年3月まで延長されました。

電子帳簿保存法の改正に伴う宥恕規定

財務省のHPに「電子取引データの出力書面等による保存措置の廃止(令和3年度税制改正)に関する宥恕措置について」が公表されました。

令和3年度税制改正における電子帳簿保存法の改正により、申告所得税・法人税に係る保存義務者は、令和4年1月1日以後に行われた電子取引(請求書・領収書等の授受を電子データで行う取引)の取引情報(請求書・領収書等)を、電子データのまま保存しなければならないこととされました。(出力書面等の保存措置の廃止)
しかし令和4年度税制改正においては、その電磁的記録の保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意し、その出力書面等の保存措置の廃止を事実上延長するための措置(宥恕措置)が講じられました。
これは令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に行われた電子取引データは、保存要件にしたがって保存できなかったことについてやむを得ない事情がある場合には、引き続きその出力書面による保存を可能とするものです。(2年間の宥恕措置)。
この宥恕措置の適用にあたって、納税者から税務署長への手続などは必要ありません。

実務的には
・電子取引の取引情報(請求書、領収書など)の電子データを、書面に出力して保存しておく。

・税務調査があった場合には、税務職員に対して「社内のワークフロー整備が間に合わなかった。」や「今後、保存に係るシステムを整備する意向は有している(現時点で未整備)。」など、その事情を口頭で回答するなどの対応が必要となってきます。

記.大阪事務所4課