2022/01/04

成年年齢の引き下げと税

成年になれば何が出来る?

2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に変わります。
成年年齢の見直しは、約140年ぶりであり、若者が自らの判断によって人生を選択することができる環境を整備するとともに,その積極的な社会参加を促し、社会を活力あるものにする意義を有するものと考えられます。(法務省HPより)世界の半数以上の国が成年年齢を18歳としています。
民法が定めている成年年齢は、「一人で契約をすることができる年齢」という意味と
「父母の親権に服さなくなる年齢」という意味があります。成年に達すると、親の同意を得なくても、自分の意思で様々な契約ができるようになります。

・一人暮らし用の部屋を借りる
・携帯電話の購入
・高額商品の購入
・クレジットカードをつくる
・ローンを組む

上記行為は、全て契約行為となってくるので、親の同意なしで行う事が出来ますが、若年者は契約に関する知識や経験が乏しいこともあり、内容をよく理解しないまま安易に契約を結んでしまう傾向にあります。
成年になれば「未成年者取消権」が行使できなくなります。
消費者トラブルのリスクを避けるためには、契約に関する知識を学び、様々なルールを知った上で、冷静に判断する力を身につけることが大切です。
その他として、女性の最低結婚年齢が16歳から18歳へ引き上げられ、男女ともに結婚できる年齢が18歳以上となりました。
ただし、飲酒、喫煙、競馬等の公営競技は、今までと変わらず20歳以上からとなっています。

相続税・贈与税

成年年齢が引き下がることにより、税法はどのように影響してくるか?

(1)相続税の未成年者控除
相続人が未成年者であるとき、「満20歳になるまで」の残年数について1年につき10万円が相続税の額から控除される制度がありますが、未成年者の年齢が20歳未満から18歳未満へ改正となります。
※既に未成年者控除の適用を受けたことがあり、未成年者のまま次の相続があった場合、改正前に適用を受けている場合については別途、経過措置が設けられています。

(2)相続時精算課税適用者の要件
生前に贈与を受けた財産を、相続時に相続財産として計算を行い、過去に申告納付した贈与税を精算する制度があります。
この制度の適用を受ける者の年齢が、贈与の年の1月1日において20歳以上から18歳以上へ改正されます。

(3)事業承継税制に係る受贈者の要件
次の事業承継税制の適用に係る受贈者の年齢要件が、20歳以上から18歳以上へ改正されます。
① 法人版事業承継税制
後継者へ非上場株式等を贈与した場合に贈与税の納税猶予や免除を受ける制度
② 個人版事業承継税制
後継者へ事業用資産を贈与した場合に贈与税の納税猶予や免除を受ける制度

(4)直系尊属からの贈与に用いられる特例贈与財産用の計算
贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計し、そこから基礎控除額110万円を差し引きます。次に税率を乗じて税額を計算しますが、20歳以上の者が直系尊属より贈与を受けた場合、特例税率を用いて税額が計算されます。
受贈者の適用年齢が20歳以上から18歳以上へ改正されます。

(5)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
結婚・子育て資金に充てるために直系尊属から信託受益権の付与等を受けた場合に1000万円まで贈与税を非課税とする制度がありますが、受贈者の適用年齢が20歳以上から18歳以上へ改正されます。

住民税・所得税

(1)住民税の非課税措置
住民税には、未成年者のうち前年の合計所得金額が135万円以下の者は非課税になるという規定があります。
この未成年者の定義が20歳未満から18歳未満に引き下げられます。

(2)NISA
居住者等が、非課税口座を開設することができる年齢要件は、その年1月1日において20歳以上であることとされています。
成年年齢の引き下げを受け、この要件が18歳以上へ改正されます。
令和5年1月1日以後に開設される非課税口座について適用されます。

(3)ジュニアNISA
居住者等が、未成年口座の開設並びに非課税管理勘定及び継続管理勘定の設定をすることができる年齢要件は、その年1月1日において20歳未満であることとされています。成年年齢の引き下げを受け、この要件が18歳未満へ改正されます。令和5年1月1日以後に開設される未成年者口座及び同日以後に設けられる非課税管理勘定について適用されます。

記.大阪事務所3課