2021/12/21

電子帳簿保存法一問一答

電子帳簿等保存って必要なの?

「当社では今まで請求書や領収書等を紙ベースで発行しており、これからも紙ベースで続けるつもりなので必要ないのでは?」と思われる方もおられるのではないでしょうか。しかしながら、自分のところがいくら「電子取引」に該当しないものであっても、取引先から請求書や領収書等がメール添付で送られてくれば、それが「電子取引」に該当し電子帳簿等保存の対象となってしまいます。
令和4年1月1日より始まる改正電子帳簿保存法では電子取引による取引情報は一定の保存要件に従って保存しなければなりません。

タイムスタンプや保存用システムがない場合はどうすれば?

取引相手から電子メールにPDFの請求書が添付されて送られてきた場合、保存要件を満たすには「真実性」と「可視性」を確保する必要がありますが、一般的なパソコンとプリンターを使用しているところではタイムスタンプや特別なシステムを導入するコストは大きな負担になってしまいます。

それではタイムスタンプや特別な保存ソフトやシステムを使用しない場合にはどうすればよいのでしょうか。
電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)問12にその具体例として、下記のような方法で保存すれば要件を満たしているとしています。
1.請求書データ(PDF)のファイル名に、規則性をもって内容を表示する。
(例)2022年10月31日に株式会社Aから受領した110,000円の請求書 ⇒「20221031_㈱A_110,000」

2.「取引の相手先」や「各月」など任意のフォルダーに格納して保存する。

3.「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規定」(電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)問24に記載の規定)を作成し備え付ける。

税務調査の際に、税務職員からダウンロードの求めがあった場合には、上記のデータを速やかに提示できるよう整然と整理しておきましょう。

電子データの保存についての宥恕措置

先ごろ公表された令和4年税制改正大綱の中で電子データの保存について円滑に移行できるように経過措置が設けられるようです。

令和4年税制改正大綱より引用
(8)電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存への円滑な移行のための宥恕措置の整備電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存することができなかったことについてやむを得ない事情があると認め、かつ、当該保存義務者が質問検査権に基づく当該電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする経過措置を講ずる。
(注1)上記の改正は、令和4年1月1日以後行う電子取引の取引情報について適用する。
(注2)上記の電子取引の取引情報に係る電磁的記録の出力書面等を保存している場合における当該電磁的記録の保存に関する上記の措置の適用については、当該電磁的記録の保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意し、引き続き保存義務者から納税地等の所轄税務署長への手続を要せずその出力書面等による保存を可能とするよう、運用上、適切に配慮することとする。

以上引用が長くなりましたが、注2にあるように保存要件への対応が困難な事業者への何らかの配慮がなされるようです。

記.大阪事務所3課