2021/09/13

消費税の仕入税額控除について

消費税の仕入税額控除とは

消費税の仕入税額控除については消費税法第30条に規定されています。
原則的には国内において行った課税仕入れに係る消費税額、特定課税仕入れに係る消費税額、保税地域からの引取りに係る課税貨物に課された消費税額の合計額を全額控除するとされています。特定課税仕入れとはいわゆるリバースチャージ方式により消費税の申告をする場合のことです。保税地域からの引取りに係る課税貨物に課された消費税額とは商品を輸入した時に支払う輸入消費税のことです。例外として、課税売上割合が95%未満の場合またはその課税期間の課税売上高が5億円を超える場合には、仕入れに対する消費税の内、課税売上げに対応する部分の金額が、売上げに対する消費税から控除することができます。
課税売上げに対応する部分の金額は課税売上割合によって求めます。
課税売上割合は(課税売上高+免税売上高)÷(課税売上高+免税売上高+非課税売上高)の計算式で求めます。
この課税売上げに対応する仕入れに対する消費税を計算する方法を個別対応方式または一括比例配分方式といいます。

消費税課税売上高がゼロだった場合の取り扱い

課税売上げと免税売上げがゼロ円であり、非課税売上げ100円が発生していた課税期間の仕入税額控除について。
この場合の課税売上割合は0÷(0+100)となり、0.0000という数値が存在することとなります。
課税売上割合は95%未満となるので、個別対応方式または一括比例配分方式によって計算することとなります。
個別対応方式とは、仕入れに対する消費税を3つに区分して納付税額を計算する方法です。
課税売上対応仕入は全額控除。非課税売上対応仕入は控除できません。共通対応仕入は課税売上割合を乗じた分を控除します。
つまり、個別対応方式で計算した場合、課税売上対応仕入れの分控除ができるので、消費税の還付申告が可能となります。一括比例方式で計算する場合は課税仕入れの消費税額に課税売上割合を乗じた分控除するため、控除できる金額がなくなってしまいます。
課税売上げと免税売上げがゼロ円であり、非課税売上げもゼロ円であった課税期間の仕入税額控除について。この場合の課税売上割合は数値が計算されず、課税売上割合という数値が存在しないことから、課税売上割合が95%未満という要件にも該当しません。
そのため、理論上は仕入税額控除は原則通り全額控除することが可能と考えられますが、実務上は個別対応方式により課税売上対応仕入の消費税額のみを控除する方が妥当であると言われております。この場合も消費税の還付申告を行うことが可能となります。

消費税の還付を受けようとする際の注意点

消費税の還付を受けようとする場合は消費税課税事業者でなければいけません。
消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、その課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されます。
また、新たに設立された法人については資本金が1,000万円以上の法人または特定新規設立法人を除いて、設立1期目及び2期目の基準期間はありませんので、設立1期目及び2期目は原則として納税義務が免除されます。納税義務が免除されている事業者が消費税の申告を行う場合、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに消費税課税事業者選択届出書を管轄の税務署へ提出する必要があります。
適用を受けようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中が提出期限です。一度消費税課税事業者選択届出書を提出した場合、課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、消費税課税事業者選択不適用届を提出することができません。
つまり2年間は強制的に消費税の課税事業者となってしまいます。調整対象固定資産の購入があった場合は3年間納税義務が免除されません。1期目に消費税課税事業者選択届を提出した事業者が設立2期目に調整対象固定資産を購入した場合、決算期変更をしなければ4年間は消費税課税事業者となります。
長期的に見て有利不利の判定をする必要がありますのでご注意ください。

記.東京事務所1課